本研究は、戦後教育改革期に成立した女子大学に焦点をあて、特性教育をめぐる教育理 念や家政学部などの学部構成を中心に個別学校の構想を比較分析し、女子大学の実態の1側面とその歴史的特質について究明するものである。研究の結果、以下の諸点が明らかになった。第1に、戦前の女子高等教育機関で共学化したのは、医学・薬学系専門学校だけであり、文学・家政学系の場合はすべてが女子大学となった。第2に、理念面で女性の特性教育を唱える女子大学はほぼ無かったが、ほとんどの学校が女子大学の特設に拘った。第3に、創設時の女子大学の学部部構成は文学部系・家政学系に限られ、社会科学系学部を備える大学は皆無であった。
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