本研究は、人文社会科学系学科における職業実践的プロジェクトの設計・評価を通じ、専門科目の学習効果を高める問題解決型の学習モデルの構築を目的とし、1.職業実践的プロジェクトの学習効果を高めるデザイン原則の導出、2.卒業生・企業へのインタビュー実施、3.職業実践的プロジェクトの事例調査、4.大学・短期大学における実践的検証と事例の蓄積、という4点を具体的な研究項目に展開した。 1と2については、主として短期大学2年次に配置されている専門科目の授業を対象とした実践研究を行い、ジグソー法の考え方を応用した協調的な学習デザインに基づく産学連携プロジェクト活動の設計と継続的な改善を行い、初年次の産学連携教育の学習モデルを提案した。あわせて、関連の卒業生や企業へのインタビューを行い、授業をベースとする実践コミュニティの中に、職業的文脈を想定した活動を構成することの必要性を導出し、それを踏まえた授業デザインを検討した。以上をもとに、3と4においては、関連する授業の担当者相互の実践を比較検討する活動を推進し、授業研究会、共著によるポスター発表を行った。 最終年度はここまでの成果に基づき、他の教育実践者が使えるようなワークシート等を印刷資料としてまとめた。また、その内容をもとにした他機関における応用実践の実施と評価を継続し、WACE世界大会でのポスター発表とオープンスペーステクノロジーへの参加、日本協同教育学会での発表、京都大学高等教育研究開発推進センター主催のフォーラムでの実践発表と参加者企画セッションへの参加を行うことができた。 近年増加している産学連携によるPBLの学習効果を高めるためには丁寧な授業設計とそれに基づく継続的なデザイン研究が必要となる。本研究が提示した基礎的なモデルはその一助となるものと考える。
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