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2014 年度 実績報告書

アメリカ高等教育における知的財産権のガバナンスに関する歴史研究

研究課題

研究課題/領域番号 24530982
研究機関南山大学短期大学部

研究代表者

五島 敦子  南山大学短期大学部, 英語科, 教授 (50442223)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードアメリカ大学史 / 国際情報交換 / 技術移転機関 / WARF / Engaged University
研究実績の概要

本研究の目的は、知的財産権の権利化をめぐって大学の規範や組織文化にいかなる変化がもたらされたかを、長期的視野から探求することにある。前年度は、ウィスコンシン大学研究同窓会財団(WARF)の設立(1925年)経緯を解明した。本年度は、その後の展開を探求し、今日にいたる発展経緯を解明した。WARFは、大学発特許のライセンシングによって世界恐慌期にも豊富な研究資金をもたらした。第二次大戦後も柔軟な資金運用によって優秀な人材を確保して大学の成長を牽引し、地域経済の発展を導いた。けれども、排他的ライシングが反トラスト法に抵触するとして提訴されたほか、投機的な投資活動やリゾート開発への関与が非難の的となった。また、高価なロイヤリティを賄える大企業は潤うものの、零細企業が恩恵を受けることはできず、公共性を損なうと批判された。WARFは、数々の批判にさらされたことから、1970年代以降、自ら組織改革を行い、連邦政府および科学コミュニティに働きかけ、バイドール法成立に寄与していった。今日のWARFは、バイオテクノロジーの研究成果を社会に発信するために、技術移転のワン・ストップ・サービスを提供するとともに、多様な教育プログラムを幅広い人々に開放しているように、研究成果の社会的意義を再考する機会を提供している(『大学史研究』第26号、『研究倫理の確立を目指して』第3章)。
上記の歴史研究に加えて、大学と社会の双方向関係によって知識生産を促進する「エンゲージメント」という概念を戦略的ビジョンに掲げるサイモン・フレイザー大学(カナダ)の地域連携事業の調査報告を論文にまとめた(『アカデミア』第8号)。また、海外調査によって、戦間期研究に関する今後の研究の発展的可能性を確認し、その成果の一部を口頭発表した(日本教育学会口頭発表、2014.8.21)。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (3件) (うち謝辞記載あり 3件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 1920~60年代アメリカの州立大学と地域―ウィスコンシン大学同窓会研究財団の歴史的展開2015

    • 著者名/発表者名
      五島敦子
    • 雑誌名

      大学史研究

      巻: 第26号 ページ: 掲載予定

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 知識基盤社会の大学と地域―サイモン・フレイザー大学の戦略的ビジョンに注目して2014

    • 著者名/発表者名
      五島敦子
    • 雑誌名

      南山大学紀要 アカデミア人文・自然科学編

      巻: 第8号 ページ: 51-64

    • 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] ヴィンセント・ティントのラーニング・コミュニティ論-学生の学問的生活を共同化する試み2014

    • 著者名/発表者名
      間篠剛留
    • 雑誌名

      慶應義塾大学大学院社会学研究科紀要

      巻: 第78号 ページ: 31-46

    • オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 戦間期アメリカの大学拡張運動 : 高等教育拡大の前提2014

    • 著者名/発表者名
      五島敦子
    • 学会等名
      日本教育学会第73回大会
    • 発表場所
      九州大学箱崎キャンパス(福岡県福岡市)
    • 年月日
      2014-08-21
  • [図書] 研究倫理の確立を目指して―国際動向と日本の課題(第3章 アメリカにおける技術移転機関の倫理)2015

    • 著者名/発表者名
      東北大学高度教養教育・学生支援機構編、羽田貴史、宮田由紀夫、五島敦子、他6名
    • 総ページ数
      189(59-80)
    • 出版者
      東北大学出版会

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公開日: 2016-06-01  

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