本研究では、知的財産権のガバナンスに焦点をあてて、ウィスコンシン大学同窓会研究財団(WARF)の歴史的発展過程を解明した。WARFは、大学発特許の権利化とライセンシングを担う技術移転機関である。連邦資金が滞った世界恐慌期も莫大な研究資金をもたらし、優秀な若手研究者の育成に貢献した。第二次大戦後は、WARF資金を柔軟に運用して成人学生を受け入れた。しかしながら、WARFは特許の独占によって価格統制をもたらし、私的な利益を得たとして批判された。そこで、1970年代には自ら組織改革を行い、1980年のバイドール法制定に働きかけた。
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