研究課題/領域番号 |
24530991
|
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
渡部 孝子 群馬大学, 教育学部, 准教授 (90302447)
|
キーワード | 英国 / エスニック・マイノリティ / 国際情報交換 |
研究概要 |
平成25年度は、文献調査、資料収集、専門家との情報交換を中心に研究を推進した。 平成25年度の調査では、現政権下の政府主導で新しい資格や統一評価に関わる教育改革が2013年より本格的に動き始めており、2017年度から実施される新しい GCSEに向けた準備が進められていることがわかった。Ofqual(資格・試験規定局)では、英国が生徒に求める学力や評価基準についての議論が始まったばかりであるため、今後の動向を追っていく必要がある。平成26年度は、試験による評価ではなく生徒の学習成果を評価するために導入された英国バカロレアの等を含め、英国の生徒に求める学力観の類型化を試みる。 現在、エスニック・マイノリティ生徒に関わるGCSEの喫緊の課題の一つとして、宗教に関わる問題が取り上げられている。さらに、エスニシティによる受験者数、受験科目の選択、成績の偏りが見られる。エスニシティに加えて、ジェンダー、社会経済的事情、地域格差なども子供の学力に影響していることがわかった。 前労働党政権は、エスニック・マイノリティ児童生徒の学力向上を目指した施策を推進し、その結果、一定の成果が得られたと言える。しかし、新政権下の2011年には、エスニック・マイノリティ学力向上のための補助金の廃止という施策の転換があった。これを踏まえて行った調査結果から、英国の国語教育がエスニック・マイノリティ児童生徒の学力を保障していくための試金石となると考え、今後の研究を進めていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
英国でエスニック・マイノリティ出身の大学生への聞き取り調査を実施し、彼らがどのような家庭環境で、どのような教育を受けてきたか、またGCSEに関してどのような問題を感じているか等を分析した。 また、学力の保障という観点からGCSEの分析を行い、GCSEに関わるエスニックマイノリィティ生徒の教育課題をまとめている。 これまでに行った研究成果を公表するための準備が整いつつあるため。
|
今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、これまでの2年間で行った研究をまとめながら、さらにデータ収集を行いたい。エスニック・マイノリティ出身の大学生への聞き取り調査及び地方当局のエスニック・マイノリティ学力向上担当者への聞き取り調査を実施する予定である。 そして、これまでの研究成果をまとめ、日本国際教育学会で発表を行い、そこで得たフィードバックを活かしながら、論文として発表する。 また、特にGCSEと特定のエスニシティ生徒の学力問題、2)エスニック・マイノリティ児童生徒の学力を保障するための取り組みとその評価、3)エスニック・マイノリティ児童生徒学力向上に関わる政策転換がもたらすものについて、最終報告書としてまとめ、研究成果を公表していく。
|
次年度の研究費の使用計画 |
予定していた現地調査の計画が実施できなかったため。 11月頃に英国で開催されるNALDIC(言語とカリキュラムの発達学会)の年次大会への出席に合わせ、英国・マンチェスターでの現地調査を実施する予定である。
|