研究課題/領域番号 |
24530992
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
長澤 成次 千葉大学, 教育学部, 教授 (50172523)
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研究分担者 |
浅野 かおる 福島大学, 行政政策学類, 教授 (10282253)
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キーワード | 住民自治センター / 多文化家族支援 |
研究概要 |
平成25年度における韓国における調査研究は、10月に蔚山広域市で開催された第12回全国住民自治博覧会に参加し、学術行事である「住民自治の拡散と未来についての討論会」、さらには優秀事例発表会等に参加し、韓国における住民自治センターの現状や動向を探るべく調査を行った。その後、今回の科研調査で一貫して継続調査をおこなってきた釜山市海雲台区パンソン地区のヌティナム図書館の6周年行事に参加、さらに、昨年から住民自治センターにおける多文化家族支援に関連して調査に入っている釜山市西区チョジャンドンのハンマウム幸福センターで、移住女性支援にかかわるメンター存在であるA先生から聞きとり調査を行った。同センターでは、さまざまな工芸活動を通して、移住女性支援を行っていることも特徴であって、担当のB先生へのインタビューと実際の工芸活動も体験させていただいた。 韓国における住民自治センターが地域のさまざまな課題に対応した活動を多彩に展開しているが、韓国における多文化化を反映して、このような多文化家族支援が重要な課題となりつつある。さきの住民自治博覧会では、移住女性が地域での具体的な役割を担うことを通して、新たなアイデンティティを獲得する事例が報告されていた。今回の研究の目的である住民自治を育む住民の学びとそれを支援するスタッフの役割、そしてそれを可能にする施設空間としての住民自治センタ―等地域施設の役割がに明らかになりつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
住民自身が住民自治センター(韓国)や公民館(日本)等で学びを通してまちづくりを主体的に担っていくための力量をどのように形成していくのか、それぞれの国の歴史的文脈があるのでこの課題に係る比較研究をすることは容易ではない。韓国における住民自治センターの全国的な動向にかかわっては全国住民自治博覧会を通じて把握することはできたが、移住女性支援にかかる調査は一定程度進んだものの、広く住民へのインタビューが十分に展開できなかったこと、さらに韓国の住民自治センターに大きな影響を与えると思われる地方行政体制改編の動きを十分調査することができなかったことが大きな要因である。
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今後の研究の推進方策 |
研究3年目の平成26年度は、研究のまとめの年にあたる。先述したように、第一に、韓国における地方行政体制の改編に伴う住民自治会と住民自治委員会の動向を調査することである。住民自治会についてはモデル事業地域が指定されているので実地調査を予定している。第二は、引き続き、全国住民自治博覧会への参加を通して、全国的な動向を調査するとともに、第三に、これまでに蓄積してきたインタビュー記録を分析し、この分野での韓国における研究者を招聘して、日韓「住民自治と生涯学習」フォーラムを日本で開催し、研究成果を共有し、今後の課題を明らかにする予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
韓国における住民自治センターの全国的な動向にかかわっては、全国住民自治博覧会と釜山調査を通じて把握することはできたが、特に韓国の住民自治センターに今後、大きな影響を与えると思われる地方行政体制改編の動きにかかわって、韓国内においてまだモデル事業が十分展開されておらず、その現地調査を行うことができなかったことが大きな要因である。 上述したように、第一に、韓国における地方行政体制の改編に伴う住民自治会と住民自治委員会の動向を調査するため、住民自治会についてはモデル事業地域が指定されている現地調査を予定している。第二は、引き続き、10月に開催予定の全国住民自治博覧会への参加を通して、全国的な動向を調査すること、そして第三に、これまでの研究のまとめとして、韓国における関連する分野での研究者を招聘して、日韓「住民自治と生涯学習」フォーラムを日本で開催する予定である。これらを行うための旅費等、そして、3年間のまとめとしての研究報告書の刊行を予定している。
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