法人公民館の設立にあたっては、政令第15号により戦前・戦中の区(部落会)で保有できなくなった山林等の区有財産の処理をめぐって、いわば区有財産管理の「隠れみの」として、法人立の公民館が設立された経緯が明らかとなった。また、法人公民館の実践の中からは、公民館が、その実質的機能において住民のリアルな生活要求に関わる民主的な社会教育実践を生みだす基盤を構築するものであったことが確認できる。こうした過程に、リアルな生活要求を実現するものかどうかという視点から公民館の制度を選び取り、自らの生活の論理によってそれを活用し、自らの生活向上を実現していこうとする住民の主体的・能動的な姿を垣間見ることができる。
|