研究課題/領域番号 |
24530997
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
篠原 清昭 岐阜大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (20162612)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 台湾 / 教育 / 民主化 |
研究概要 |
平成24年度については、90年代以降の台湾における教育民主化に関して、主に中央における政策過程を、教育関係の審議委員会や他の関係団体の政策文書や資料により解析するとともに、政策当事者のオーラルヒストリー(口述史)により分析し、その成果を「台湾における教育の民主化政策」(『岐阜大学教育学部研究報告』(人文科学)VOL.61 No.2 2013年 197頁~222頁)にまとめた。 台湾では、戒厳令解除(1987年)以後から現在までの教育改革の流れを、大きく民間教育運動が組織化され成長していく「萌芽・成長期」(1987年-1993年)、それを一定の圧力として教育改革が政策化されていく「政策期」(1994年-2003年)、そして政策化された教育改革が批判・総括にもとづき修正されていく「転換期」(2004年-現在)に分けることができる。 ここで重要な時期となるのは、やはり実際に民間の教育運動の民主化要求が政策化される可能性を示す「政策期」(1994年-2003年)であるといえる。実際、台湾では教育史上この「政策期」を教育改革が大きく展開された十年間の教育改革期であるとして一般に「十年教改」期と形容する。本稿では、そのためその「政策期」を対象として、教育運動の教育改革思想が、教育政策の決定システムにどのように導入されたか。あるいはされなかったか。その導入・葛藤そして包摂の過程の実態を検証し、教育における民主化の政策化の可能性と問題性を考察した。 以上の研究は、台湾の教育の民主化を対象とする本研究全体の中で、その中心となる政策を分析したことで、その中心となる課題を達成したと自己評価する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、台湾を対象とした外国研究として以下のような計画と方法を予定していた。 ①主に90年代以降の台湾における教育民主化の中央及び地方の政策過程を、教育関係の審議委員会や他の関係団体の政策文書や資料により解析するとともに、政策当事者のオーラルヒストリー(口述史)により分析する。 ②台湾における教育の民主化の特異な政策(学校の民営化、保護者の学校運営参加など)をケーススタディとして分析する。地方政府の政策事例調査や公設民営学校等の事例校調査。 昨年度は、そのうち①における部分をほぼ達成したといえる。特にその政策過程を関係当事者のヒアリングを方法とし、さらにかなりの数の関係文書及び先行研究を対象に分析できたことは当初の予想を超えて成果を示しえたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
台湾では、戒厳令解除(1987年)以後から現在までの教育改革の流れを、大きく民間教育運動が組織化され成長していく「萌芽・成長期」(1987年-1993年)、それを一定の圧力として教育改革が政策化されていく「政策期」(1994年-2003年)、そして政策化された教育改革が批判・総括にもとづき修正されていく「転換期」(2004年-現在)に分けることができる。 今年度は、主に「政策期」を再度対象として、教育の民主化が政策上主に具現化されると評価される、台湾の教育基本法の立法過程を考察する。その方法は、①実際の教育基本法の立法過程を関係文書の分析や当事者のヒアリングにより実証的に分析することと、教育基本法自体の法規範内容を法解釈学的に分析したいと考える。
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次年度の研究費の使用計画 |
以上の研究計画及び方法により、今年度の研究費の使用は主に現地調査となる。そのための渡航費等は主となる。実際には、教育基本法の立法過程に関わった当事者(当時の台湾議会の立法委員や研究者等)へのヒアリングを行うための渡航費等はメインとなる。 それ以外に、同時に台湾の教育の民主化研究を行っている台湾国内の研究者や中国大陸の研究者との協議のための渡航費も必要とする。
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