研究課題/領域番号 |
24530998
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
梅澤 収 静岡大学, 教育学部, 教授 (90223601)
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研究分担者 |
成松 美枝 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 准教授 (40440812)
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キーワード | 教員養成システム論 / 教員養成大学・学部 / 教員養成政策 / 国立大学改革 / 大学ガバナンス / アメリカの教員養成 / ミッションの再定義 / 教員養成高度化 |
研究概要 |
本研究は、国立教員養成系大学・学部のカリキュラム・組織・ガバナンスの面から基礎的な調査分析を行うともに、教員養成と現職研修を組み合わせた教員免許制度の先進例とされる、米国ウィスコンシン州等の教員養成システムに学びながら、日本の教員養成システムの特有性を活かした改革デザインをどう行うのかを考察するものである。 3年計画の2年次である本年度は、①改革動態調査、②歴史構造分析、③米国調査にわたり、実現可能な全体計画を作成した上で、次のような取組を行った。 ①「改革動向調査」については、協力者会議の2013年10月報告「大学院段階の教員養成の改革と充実等について」までの教員養成の政策動向とその内容を正確に把握した。同時に、国立大学改革の一環として策定された教員養成分野の「ミッションの再定義」の分析を行った。②「歴史構造分析」については、所属する教育学部の歴史構造分析を行った。特に、国立大学全体・教育学部間においてカリキュラム・組織・ガバナンスがどのように変容・転換していったかに注目し、引き続き整理分析している。③「米国調査については、9月に事例対象機関のウィスコンシン州立大学・ミルウォーキー校(UWM)を訪問し補充調査を行った。 研究成果の今年度の実績としては、9月に教師教育学会で米国調査を中心にその研究成果を発表した。また、その成果を活かして、米国ウィスコンシン州等の教員養成・研修システムに学びながら、日本の教員養成と研修システムを活かした改革デザインを今後どのように行っていくのか検討するために、東京大学・東京学芸大学・京都大学及び関西教育行政学会と協働して、「教師教育・教育委員会に関する日米教育改革交流シンポジウム-」を2014年3月に企画実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は、国立教員養成系大学・学部のカリキュラム・組織・ガバナンスの面から基礎的な調査分析を、①改革動態調査、②歴史構造分析、③米国調査によって行うことである。そのことによって、日本の教員養成システムの特有性を活かした改革デザインをどう行うのかについて考察することを目的としている。 平成24年度及び平成25年度の「研究実績の概要」に示したように、現実可能な3年間の研究計画を年度ごとに再設計し、①から③までのそれぞれについて、計画を若干修正しながら、前向きに研究作業に取り組むことができた。 とりわけ、平成25年度において、その成果を活かして、米国ウィスコンシン州から2名の研究者・学区教育長経験者を講師として招聘し、東京大学・東京学芸大学・京都大学及び関西教育行政学会と協働して、「教師教育・教育委員会に関する日米教育改革交流シンポジウム」を2014年3月に企画実施できたことは、特筆に値するものであると考える。 したがって、自己点検による評価は、「(1)当初の計画以上に進展している」とすることとした。
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今後の研究の推進方策 |
本申請研究の3年次となる平成26年度においては、これまでの2年間の研究成果と課題を整理して最終まとめを行う。 具体的には、第1に、米国・ウィスコンシン州立大学・ミルウォーキー校に対する補充調査を行うとともに、その成果を中心に学会等で発表を行う(又は、次年度の研究発表に向けた準備を行う。) 第2に、国立大学改革の一環として策定された「ミッションの再定義(教員養成分野)」について、全国立大学45校を対象に比較検討する。全国的なアンケート調査はこれに代えることとする。さらに、私の所属する国立大学及び国立大学の実践事例を数校対象として比較検討する。そして、その成果を、研究集会等で発表することとする。 国立教員養成系大学・学部のカリキュラムと組織を改革することが、実践的な課題となっている。具体的には、協力者会議の2013年10月報告「大学院段階の教員養成の改革と充実等について」までの教員養成政策を基調にして、各国立大学は、「ミッションの再定義(教員養成分野)」で将来像(グランド・デザイン)を見据えた中長期目標を固めてきている。そして、そのような枠組みの中で国立大学の組織及びカリキュラムの改革を実践的に進めていくことによって、10年後には世界の範(モデル)として注目されるような「日本型教員養成システムの構築」へ結実させていく道筋を明示していきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
アンケート調査の実施と分析に要する経費を残すこととなった。これは、全国立大学がミッションの再定義(教員養成分野)の策定作業に取組んで昨年度11月に確定させたことにより、その分析によって全国的な基本情報がより効果的に得られると判断したためである。 平成26年度(最終年度)における実践事例調査及び米国訪問補充調査に係る経費に充当する予定である。
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