本研究は、 国の学校制度基準の緩和・撤廃とそれが公教育制度に及ぼすインパクトを多面的に検討し、公教育制度における規制改革の問題点を明らかにし、国の規制緩和・撤廃が進められる中にあっても公教育の水準を維持する地方公共団体自身の自律的自己規制力の成立条件の解明を目的とするものである。 2014年度は、高等学校の教育課程基準の規制緩和による高等学校制度改革の実態を解明するため、2007年の学校教育法及び同施行規則改正による高等学校の教育課程基準の規制緩和が、(1)高等学校の教育課程編成や卒業認定などの制度実態に与える影響を解明するとともに、(2)このことが生徒の就学行動にいかなる変化をもたらしているかを実態調査により明らかにすため、基礎的に資料を収集し分析を進めた。なお、当初、教育特区における株式会社による通信制高校の設立とその分校の全国展開の実態を解明することを目指したが、資料の限界から十分な実態解明には至らなかった。 また、沖縄県八重山地区教科書採択問題に関連して、竹富町において同町教育長、教職員、住民に聴き取り調査を行い、教育委員会が自律的自己規制力は、教職員や地域住民の教育要求への応答性に依存する可能性があるとの仮説を得るに至った。
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