研究課題/領域番号 |
24531003
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
北野 幸子 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (90309667)
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研究分担者 |
三村 真弓 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (00372764)
吉田 伊津美 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (30335955)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 園と家庭の連携 / 保育者の専門性 / 家庭教育環境 / 家庭教育力 / 幼児教育 / 国際情報交換 |
研究概要 |
本研究の目的は、園での子どもの保育の質の向上を図るために家庭との連携を図る上で必要な保育者の力量(専門知識や方法・技術)を探求し、家庭との連携を促す教材や実践開発を行うことである。 家庭との連携に関する保育者の専門性について、国内外の文献調査を行った結果、家庭との連携を図る力量が、保育者養成にあたり、養成すべき専門要件に加えられているといった国際動向が明らかになった。ナショナルガイドラインや、保育の質を確保するための要件基準や、質評価の評価基準等においても、家庭との連携の重要性が位置づけられていることが明らかになった。実際に家庭との連携を図るための実践例についても、文献からその特徴を整理することができた。保護者を支援するサポートの視点から、協同へ、さらには連携といったパートナーシップの視点へとシフトした経緯も明らかになった。 日本の保育現場における家庭との連携に関する意識・実態について、ヒアリング調査や質問紙調査を実施した結果、「子育て支援」と「家庭との連携」の差異化がはかられていないこと、年次計画などの立案がなされていないこと、情報提供が園から家庭へと一方向的な傾向が強いこと、保護者の主体的参画を促す必要性が高いこと等が、明らかになった。 協力園において実施した実践研究と、追跡調査から、「子育て支援」と「家庭との連携」の違いを意識化することによって、園における保護者対応の改善が図られ、スタッフ間の共通認識が高まったとの評価がえられたり、実際に、家庭との連携に関わる新たな実践の改善や、実践の導入や開発、年次計画の策定等が積極的に図られたといった成果が得られた。 研究の中途成果を国際学会で発表した。海外の「家庭との連携」に関する研究においても、格差是正に寄与する観点からのみならず、保育者の専門性の向上に寄与するといった成果が報告されており、情報交換を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね順調に進展していると判断した理由は、以下の通りである。 ①文献調査の結果、最新の知見を収集し、データを有る程度、整理することができた。 ②日本の保育現場における家庭との連携に関する意識調査と実態調査を実施することができた。 ③予定を上回る、多くの園から協力が得られたので、調査に加えて、実践開発にも着手することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、平成24年度に引き続き、家庭との連携に関わる保育者の専門要件について、分析を行う。また、文献調査に加えて、国際動向調査を行う。 日本の保育現場における家庭との連携に関する意識調査や実態調査を引き続き行う。加えて、国外の家庭との連携に関する実態についても情報収集に努める。 これら、文献調査およびに意識調査・実態調査の結果を踏まえて、両者の比較分析を行う。 実践開発については、予定をうわまわって、平成24年度にすでに着手することができたので、国内の協力園や協力組織との連携をさらに深め、個別の実践開発を蓄積し、実践の事例記録やその記録の省察と検討をするなど、深めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は下記のように、研究費を使用する予定である。 <設備委備品・消耗品について>幼児教育・家庭との連携に関連する文献資料を入手する。実践現場での調査用のパソコン、タブレットを購入する。実践開発を行うので必要な消耗品を購入する。 <謝金について>文献データ整理のためにアルバイトを雇用する。 <旅費について>研究打合せ会議および国内外での調査・情報収集を行う。研究の中途成果報告を学会にて行う。 <その他について>学会参加費等。
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