研究課題/領域番号 |
24531003
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
北野 幸子 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (90309667)
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研究分担者 |
三村 真弓 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (00372764)
吉田 伊津美 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (30335955)
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キーワード | 家庭との連携 / 保育者の専門性 / 家庭教育力 / 国際情報交換 |
研究概要 |
本研究の目的は、園での子どもの保育の質の向上を図るために家庭との連携を図る上で必要な保育者の力量(専門知識や方法・技術 )を探求し、家庭との連携を促す教材や実践開発を行うことである。 平成24年度は文献調査が中心に行い、実態調査も行った。平成25年度は文献調査と実態調査の比較を行い、国内における家庭との連携の実態は、子育て支援が中心であることが分かった。先行研究 (参考:Keyser, J., 2006; Epstein, J. , 2011)を参考に、①親業教育(Parenting)、②認識の共有(Comm unicating)、③主体的参加(Volunteering)、④家庭教育力の向上(Learning at Home)、⑤参画(Decision Making)、⑥地域との連携(Collaborating)について検討した結果、②、③、⑤などに課題があることが明らかになった。 これらを踏まえて、②について保育ドキュメンテーションの実態調査を行った。また、ドキュメンテーションの作成や改善について現場と検討会などを実施した。また、連携して教材の開発を行った。「家庭との連携に関わる保育者の専門性向上モデル」は、科学的根拠に基づく保育の実践を可能とする「実践力」を基盤とし、その実践の根拠と意図、効果を可視化し、言語化することを可能とする「表現力」を身につ け、さらには、実際に実践を伝達する方法と技術、つまり「発進力」を発達させ、家庭との連携に関する保育者 の専門性を向上させていくモデルである。協力園や研修でかかわった園の保育者のドキュメンテーションの時系列的な分析により「表現力」の向上が図られる様子が明らかになった。また、保護者の反応について分析した結果、「発信力」の効果と思われる事例がいくつも抽出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は、当初の予定どおり、平成24年度の文献調査結果と、実態調査結果を比較検討し、課題を抽出することができた。またそれを踏まて、実践現場の調査や協力園との連携による教材調査、研修調査、教材の開発、実践開発を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、家庭との連携の教材および実践開発を本格的に行う。特に、表現力、発信力の向上に寄与するドキュメンテーションの作成モデル教材や、作成の研修についても、協力園や協力組織とともに、行う。家庭との連携に関わる園の年次計画モデルの開発、実践事例の集積、ガイドラインの作成を行うとともに、研修モデルの開発も試行しながら行う。それらの成果をもとに、家庭との連携に関する保育者の専門性を明らかにし、家庭教育力向上につながる保育実践開発を体系化したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、予定以上に実践現場や保育関連組織の協力が得られたため、当初の予定以上に教材開発や実践開発に着手することができた。現場での調査や研究に時間を予定より大きく割いたため、国際学会での成果報告を行わなかった。そのため、外国旅費の使用が予定よりすくなく、当該助成金が生じることとなった。 平成26年度は当初予定していた以上の、教材開発、実践開発のための消耗品、国際学会での発表の旅費などの使用を計画している。
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