研究課題/領域番号 |
24531005
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
横松 友義 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (10241192)
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キーワード | 私立幼稚園 / 実効のある保育目標 / 明確化 / 手順 / 類型 |
研究概要 |
これからの幼稚園においてカリキュラム・マネジメントを行っていくためには、実効のある教育目標の明確化が不可欠であるが、その方法論は未だ確立されていない。そこで、本研究では、まず私立幼稚園に範囲を限定し、その方法論の確立を目指している。 平成25年度には、まず、実効のある保育目標(幼保一体化が進行しつつある状況を踏まえ、「教育目標」という用語を幼稚園と保育園の両方において通用する「保育目標」という用語に変更している)が、教育基本法に示されている教育の目的という観点から納得できることの重要性について論述する論文を作成した。 次に、平成24年度に、岡山市と倉敷市それぞれにおいて、保育目標明確化の際に特に重視されるであろう3点(園長の見解、保育者による協議、保護者・地域の声)各点ごとに、他園と比較してより重視していると言われる園を選定し、選定された合計6園において、園の保育実践に関する既存資料を収集すると共に、ビデオカメラによる保育実践記録等も行った。また、その各園が保育目標明確化の際に考慮する事柄についても明らかにした。それらを資料に、園ごとに、実効のある保育目標案を作成すると共に、それを教育基本法及び学校教育法の観点から、また、その他の考慮事項も踏まえて、検討できる資料を作成した。そして、園ごとに、作成資料に基づいて実効のある保育目標明確化のための検討・修正を依頼し、その検討・修正結果における不明点についての協議も行い、園長の承認をもって実効のある保育目標を明確化した。その明確化過程から、私立幼稚園における実効のある保育目標明確化手順を定式化すると共に、その具体的内容の類型についても考察した。 さらに、その研究成果を仮説として修正・発展させていくために、岡山市と倉敷市の全私立幼稚園の園長ないし副園長に対してその仮説の批判的検討を依頼し、承諾者より専門的知識の提供を受けた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度については、選定6私立幼稚園における研究をとおして、私立幼稚園における実効のある保育目標の明確化手順とその具体的内容の類型に関する仮説を導き出すことはできている。ただし、その成果を学会誌に報告することは平成26年度の予定である。 岡山市と倉敷市の全私立幼稚園の園長等に、その仮説の批判的検討を依頼して承諾者から専門的知識の提供を受ける作業は、完了した。この部分については、倉敷市関係を当初平成26年度に実施する予定であったので、当初の計画以上に進展している。 また、実効のある保育目標が教育基本法に示されている教育の目的という観点から納得できることの重要性について論述する論文も作成した。 私立幼稚園における実効のある保育目標の明確化手順とその具体的内容の類型に関する研究成果を学会誌に報告すること以外は、平成25年度の研究実施計画以上に成果が上がっている。したがって、「(2)おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
仮説の批判的検討を依頼する形で専門的知識の提供を受けることは、すでに、岡山市と倉敷市においては終了している。そのことを受けて、岡山県内の他市所在の4園の園長等からも仮説の批判的検討を依頼する形で専門的知識の提供を受けて仮説をより一般的なものに修正・発展させていきたい。 加えて、学会発表と論文作成を堅実に進めて、3年間の研究を完了させたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初、倉敷市で調査を行う際に、調査交通費と調査日当費を計上していたが、大学の公用車を使用したために不必要となった。また、岡山市と倉敷市の私立幼稚園の園長等より半構造化面接の形で専門的知識の提供を受けたが、一人あたりの面接時間が予想より短くできて、専門的知識の提供費を減額できた。加えて、平成26年度に実施予定であった面接を平成25年度に前倒しすることを決定した際に、当初の予想面接時間に基づくと使用可能な直接経費を超過すると考えられ、しかも、前倒し支払い請求の可能な期間を過ぎていたため、資料作成費の一部を運営費交付金から支出した。こうした状況により、次年度使用額が生じた。 平成26年度の研究費使用計画は、次の通りである。平成25年度に岡山市と倉敷市の私立幼稚園の園長等から専門的知識の提供を受けたので、その内容の整理と整理したものを踏まえて実効のある保育目標明確化に関する仮説を修正・発展させるための考察を2回に分けて学会大会で発表するために、成果発表交通費と成果発表宿泊・日当費を使用する。その後、岡山県内の他の私立幼稚園の園長等にも専門的知識の提供を受けて、仮説の批判的検討者の範囲を広げて、仮説をより一般的なものに修正・発展させて、論文作成につなげたい。その際に提供される専門的知識を録音し文字化するので、資料作成費を使用する。また、必要と考えられる著書を購入するために、保育目標関係図書費を使用する。 次年度使用額については、この一部に当てる予定である。
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