本研究では,わが国の幼稚園においてカリキュラム・マネジメントを推進できるようにするために,まず私立幼稚園に範囲を限定して,実効のある教育目標明確化の方法論を構築している。 平成26年度には,まず,平成24年度に,私立幼稚園職員を対象に実効のある保育目標(幼保一体化が進行しつつある状況を踏まえ,「教育目標」という用語を幼稚園と保育園の両方で通用する「保育目標」という用語に変更している)明確化の必要性を説明する資料の概要の開発を行っているので,その成果をまとめた論文を作成している。この論文と共に,幼稚園における実効のある保育目標が教育基本法の観点から納得できることの重要性について論述した平成25年度作成の論文により,私立幼稚園における実効のある保育目標明確化を推進するための条件整備を行っている。 次に,平成25年度に,選定6私立幼稚園での研究を通して,新たに,私立幼稚園における実効のある保育目標明確化手順を定式化したので,平成26年度に,その成果をまとめた論文を作成している。 また,平成25年度から平成26年度にかけて,前述の選定6私立幼稚園での研究成果から得られた,私立幼稚園における実効のある保育目標明確化手順の類型化に関する仮説を検討・修正し発展させるために,岡山県内の全私立幼稚園の園長ないし副園長に対して,その仮説の批判的検討を依頼し,承諾者より専門的知識の提供を受けている。そして,提供された専門的知識に基づいて,その仮説をより一般的に活用できるものに発展させると共に,得られた類型化方法を活かして,各私立幼稚園園長が実効のある保育目標明確化を適切にカリキュラム・マネジメントにつなげていくための留意点について考察している。その成果をまとめた論文を平成26年度に作成している。
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