本研究は、都道府県教育委員会の学力政策の実態と課題等を、都道府県教委や市町村教委に対する事例研究及び質問し調査を通して明らかにした。その結果、次の諸点が明らかにされた。 (1)約半数の市町村教育長は、都道府県教育委員会の学力政策が子どもの学力向上を図る上で有益であると認識している。(2)都道府県教委と市町村教委の間に学力政策をめぐる方針等が一致している場合の方が、市町村の子どもの学力が高い。(3)子どもの学力を規定する主要要因として家庭要因や人口規模や就学援助受給率等が挙げられる。今後、政策評価法の開発を行う際、政策の実施とその成果のタイムラグや学力の規定要因の多様性に着目する必要がある。
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