研究課題/領域番号 |
24531009
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
川崎 徳子 山口大学, 教育学部, 講師 (00555708)
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研究分担者 |
白石 敏行 山口大学, 教育学部, 教授 (10259327)
沖林 洋平 山口大学, 教育学部, 准教授 (20403595)
遠藤 野ゆり 法政大学, キャリアデザイン学部, 講師 (20550932)
小杉 考司 山口大学, 教育学部, 准教授 (60452629)
大塚 類 青山学院大学, 教育人間科学部, 准教授 (20635867)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 道徳教育 / 保育観・教育観 / 他者視点 / 幼小連携 |
研究概要 |
本研究課題である道徳教育における他者視点の内在化を育む幼小連携プログラムの策定について、初年度は、第一段階として、3つの研究班それぞれの立場からプログラムのもととなる事例・資料の収集と蓄積を行った。 保育観検証班と幼小連携班は、各研究者の研究フィールドでの参与観察、及び事例の記録、蓄積を行う。また、道徳的な視点も含め教育実践で定評のある幼稚園・小学校について保育・授業参観、及び教員への聞き取り調査を行い、前者と合わせて、他者視点の内在化を支える道徳的意識の発達と保育・教育活動について考察・検討し、理論整理を進めている。 幼・小の保育・授業記録からの具体的な事例を検討する中で見えてきたこととして、保育、授業等における保育者、教師の姿勢や在り方にあられる保育観、教育観と子どもの態度や行為にあらわれる他者に対する姿の関係を考察していくと、他者への意識や道徳的な態度が育つ環境としての保育者・教師の道徳観がいづれにも大きく影響していることがあらためて明らかにされた。そもそも個々の保育者・教師自身の道徳観そのものに大きな差があり、そのことが教育活動を通して子どもに求める道徳的意識や態度にもつながっていることから、保育者・教師自身の道徳観について、どのような違いがあり、現場によってどのような傾向があるのかについて、詳細に捉えていく必要があることがわかってきた。これについては、道徳実践班の成果を含め、次年度での実態調査の課題として検討を続けていく。 道徳教育実践班は、規範など、道徳教育に関連する言葉のイメージを分類・分析する研究を進めながら、幼児から小学生、中学生、高校生、及び成人まての言葉から捉える道徳観を測定する研究手法の検討、及び、データ収集と分析を行い、測定尺度開発に取り組んでいる。また、学校適応に関する尺度を用いての課題へのアプローチも検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、本課題について、保育観検証班、幼小連携班、道徳教育実践班の3つの班に分かれて、それぞれに資料収集・分析を進め、その成果を蓄積している。 保育観検証班と幼小連携班は、幼稚園・小学校における参与観察を通した事例収集、及び教員への聞き取り調査を実施し、課題に対する実態把握と理論整理を行った。具体的な事例の検討を行うことによって、教育活動を支える保育者・教師自身の個々の道徳観の違いがぞれぞれの教育活動における子どもへのかかわりの違いとしてあらわれることについて、より具体的に捉えることになり、次年度の道徳教育実践班の成果と合わせての実態調査への課題を明らかにすることができた。 道徳教育実践班は、道徳教育に関連する言葉のイメージを分類・分析することを通して、幼児から成人までの言葉から捉える道徳観を測定する尺度の開発の手がかりを得た。また、学校適応に関する尺度についても合わせて検討し、道徳観と社会的態度についての実態調査のための準備を整えている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、保育検証班、幼小連携班は、国内での幼稚園・小学校での参与観察、聞き取り調査を行い、事例の収集と分析を行う。加えて、日本における道徳観、教育観を客観的に検討するために、国外の幼児教育、初等教育施設での参与観察・聞き取り調査を行う。当初の計画では、幼児教育の先進国であるベルギー・スェーデンへの視察を予定していたが、一定期間教育現場に入っての参与観察により、実践現場での子ども、教師の道徳観、教育観に触れながら記録するという研究手法を重視していることから、再度調査先を検討し、柔軟な受け入れが可能がイギリスの施設での調査を予定している。 道徳教育実践班は、道徳教育に関連する言葉のイメージを分類・分析、及び、学校適応に関する尺度にかかわる基礎研究の成果を基に、幼児から成人の道徳観と社会的態度についての測定尺度を開発し、実態調査を計画・実施する。 合わせて、2方向の研究成果を包括的に分析することを通して、幼小連携のプログラムである道徳レイディネスにつながなる教材開発に取り掛かる。教材開発については、随時、研究協力者のいる幼稚園・小学校の現場での実践とフィードバックを取り込むアクションリサーチをとりながら進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
一定期間教育現場に入っての参与観察という実践現場に入って子ども、教師の道徳観、教育観に触れながら記録するという研究手法を重視していることから、今年度の調査に幼児教育の先進国であるベルギー・スェーデンの教育施設への視察を予定していたが、再度調査先を検討した結果、次年度に参与観察の受け入れに対して柔軟なイギリスの施設での調査に切り替えたため、今年度は国内調査のみを行い、次年度に研究費の一部を繰り越した。 したがって、次年度の研究費の使用については、国内での参与観察・聞き取り調査のための国内旅費、及び、データの収集・入力と分析補助のための人件費・謝金、国外調査のための外国旅費とデータの収集・入力と分析等の人件費・謝金。英文校閲のための事務費。及び、道徳観と社会的態度についての測定尺度の開発、調査研究準備のための物品費、データの収集・入力と分析等の人件費・謝金、研究成果の評価のための学会発表旅費等、となる。
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