研究課題/領域番号 |
24531009
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
川崎 徳子 山口大学, 教育学部, 准教授 (00555708)
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研究分担者 |
白石 敏行 山口大学, 教育学部, 教授 (10259327)
沖林 洋平 山口大学, 教育学部, 准教授 (20403595)
遠藤 野ゆり 法政大学, キャリアデザイン学部, 准教授 (20550932)
小杉 考司 山口大学, 教育学部, 准教授 (60452629)
大塚 類 青山学院大学, 教育人間科学部, 准教授 (20635867)
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キーワード | 道徳教育 / 保育観、教育観 / 他者視点 / 国際情報交換(イギリス) / 質問紙調査 |
研究概要 |
本研究課題である道徳教育における他者視点の内在化を育む幼小連携プログラムの策定について、2年目である本年は、以下の3つの方向からの研究を進めた。 1つ目は、保育観検証班、幼小連携班の各研究者の研究フィールドでの参与観察、聞き取り調査等での事例の収集と検討を引き続き行い、資料の蓄積を進めた。 2つ目は、日本における道徳観、教育観を客観的に検討するために、国外(イギリス)の幼児教育、初等教育施設での参与観察、及び、聞き取り調査を行った。 3つ目には、保育検証班、道徳教育実践班とともに、保育士、幼稚園教諭の道徳観と教育観について実践の場面での思考に触れていく質問紙調査を行った。 幼児期の教育の基本は遊びを中心とした総合的な指導として体験を重視することから、教員の個性が反映されやすい。調査票では「子どもの道徳心が育まれるためには次の項目がどの程度重要であると思うか」という教示文を示し、「人に喜ばれることを進んでやる」とか「自分のやりたいことを自分で決める」といった25からなる項目に対し、非常に重要であるから全く重要でないの五段階で回答してもらった。また同じ項目が「子どもたちにきちんと伝わっていると思うか」という教示によって、伝わっているから伝わっていないまでの五段階で評定してもらった。さらに,子どもにはどんな大人になってもらいたいと思うか、子どもの喧嘩をおさめるときに教師として何を大切にしているか、と言った自由記述による回答も求めた。その結果、道徳心の教育についての,教員の重要さ評定と伝達についての確信のギャップと,自由記述の回答パターン,教員の所属する機関や地域を組み合わせた対応分析を行うことで、保育士、幼稚園教諭の実践における全体的傾向が示された。この分析をさらに事例検討の研究成果と重ね、次年度の実践的プログラムの策定へつなげていく方向で検討を続けている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、保育検証班、幼小連携班、道徳教育実践班の各研修者が協力して、3つの方向から研究を進め、資料の収集、分析を行った。 1つ目は、初年度に引き続き、各研究者の研究フィールドである幼稚園、小学校等における参与観察、聞き取り調査による事例収集と分析を行っている。 2つ目は、保育検証班、及び、幼小連携班とともに日本における道徳観、教育観について客観的に検討を行うために、イギリスの幼児教育、初等教育施設の実践現場における参与観察、授業への参加、及び聞き取り調査を行い資料を蓄積している。 3つ目には、保育検証班、道徳教育実践班が協力して、保育士、幼稚園教諭へ道観、教育観について、保育現場での実践における思考に触れていく質問紙調査を行った。これら3つの方向からの研究資料の蓄積と各研究者の交流による研究課題に対する検討が進んでおり、課題に対する成果の方向が示されてきている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度行った3つの方向からの研究について、さらに具体的に分析を行い、本研究の課題である道徳教育における他者視点の内在化について、保育士、幼稚園教諭の道徳観、教育観と教育内容、保育実践との関連を検証していく。その一貫をして、保育士、幼稚園教諭に対して行った、道徳観、教育観について、保育現場での思考に触れていく質問紙調査の結果の分析、研究成果について、フランスでの国際応用心理学会での発表を予定している。学会での国際的評価も踏まえながら、各研究班の研究者の研究成果の蓄積をさらに検証し、他者視点の内在化を育む幼小連携プログラムにつながる保育実践の方向を検討する。 この先の方向としては、幼児教育終了後の小学校教育における道徳教育とのつながりと一貫性、あるいは、発達に即した経験が積み重ねられているのかといった幼稚園と小学校の道徳教育にかかわる体験について、連携の視点での検討を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は、前年度計画をしていた国外調査を行う予定の予算を繰り越して計画していたことにより、予定通り国外調査を行うことができた。合わせて、本年度行った質問紙調査についても予定通り、調査及び分析を行ったが、さらに分析と検討を深めるために、研究者の研究会議を続けることと、さらに研究とその成果について、各質問紙調査への協力先へその報告の送付を繰り越す予定である。また、その成果の評価の場として、フランスで開催される国際応用心理学会での発表を予定していをる。この2つの研究活動へ引き継ぐために、次年度へ研究費の一部を繰り越す。 本年度行った質問紙調査について、さらに分析と検討を深めるために、保育検証班と道徳教育検討班、幼小連携班の各研究者が分析、検討の場を持ち、研究のまとめを進める。さらに研究とその成果について、各質問紙調査への協力先へその報告の送付を行う予定である。 また、研究の一部について、その成果の評価の場として、フランスで開催される国際応用心理学会での発表を予定していをる。 これらの研究活動のための活動費、及び、学会発表旅費等として、使用する計画である。
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