各国は、学校教育の質保証を行うために、学校外部評価、教員の能力開発、就学前教育の重視を中心とした教育政策を展開している。 研究代表者が主に分析を進めてきたドイツにおいては、16州それぞれに教育政策が異なり、学校評価や行政評価の組織や手法も異なっている。イギリスやオランダ、そしてドイツ・ニーダーザクセン州のような学校外部評価先進国は、学校外部評価の縮小と個別学校の支援プログラム重視に教育政策を転換していった。一方、2010年代に入り、ベルリン市(都市州)やザールラント州のように、学校外部評価の充実が、学校教育効果を高めるとして、外部評価の充実を進める州もある。こうした相違は、①学校改善を実施するために、学校外部評価により、各学校はある程度課題を把握しており、改善を進めるための支援をより重視すべきと考えるのか、②各学校が課題を認識し、自己改善を進めるための契機となることを意図するのか、によって異なってくると考えられる。 前者はすでに学校外部評価を少なくとも一度は終え、二巡目以降に進んでいる国に多い。こうした国では、学校外部評価に多くの資源を投入するよりも、外部評価は前回の課題指摘事項が改善されたのかを確認する程度の軽減を図っている。その上で、学校教職員が必要な改善のための研修等の支援に資源を投入しているといえる。一方、後者の国では、各学校の課題を関係者が共通認識することを重視していると考えられる。ドイツの多くの州は、後者に属する。とりわけ、教育の質保証のために、授業方法の改善が進展しているのかどうかが学校外部評価のポイントとなっている。つまり、学校外部評価が授業改善を中心とした学校改善を進めるために有益であると判断しているといえる。 教員の能力開発は、教員養成段階における実習の重視と、研修機会の保障という形で現れている。就学前教育は、0歳から3歳未満も重要な対象となってきた。
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