研究課題/領域番号 |
24531020
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
杉本 真理子 帝京大学, 教育学部, 教授 (70130010)
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研究分担者 |
浪越 一喜 帝京大学, 教育学部, 准教授 (10228083)
芦澤 清音 帝京大学, 教育学部, 准教授 (20459382)
登 啓子 帝京大学, 教育学部, 講師 (50389889)
村山 祐一 帝京大学, 教育学部, 教授 (70314565)
佐野 友恵 帝京大学, 教育学部, 講師 (70413408)
岡田 たつみ 帝京大学, 教育学部, 講師 (70566249)
野尻 美枝 帝京大学, 教育学部, 助教 (60554110)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 保育者養成 / 4年制大学 / 実践知 / 幼児理解 / 歴史的検討 / 現場ニーズ |
研究概要 |
本研究は3つのチームで分担しており、24年度の各チームの研究目的に照らした研究実績は以下の通りである。 Aチーム:戦前日本の保育者養成の成立過程及び特質を史的資料から明らかにするための検討を進め、「戦前日本の保姆養成校に見る「多様性」とその影響」(佐野友恵、2012年12月日本乳幼児教育学会第22回大会発表)、「幼稚園令制定後の保姆検定試験問題にみる幼稚園保姆の資格程度」(佐野友恵、2013年5月日本保育学会第66回大会発表予定)としてまとめた。 Bチーム:幼稚園・保育所の経営者・園長を対象として面接調査を実施し、現場の抱える具体的な課題の実態、保育者養成4年制大学への要請を収集するため、首都圏、和歌山県、秋田県計5つの施設を訪問した。その第1報を「保育者に求められる資質・能力の構造把握に向けて」(浪越一喜・登啓子、2013年5月日本保育学会第66回大会)として報告する予定である。 Cチーム:保育現場のベテラン保育者や養成校実務家教員から実践知を収集すると共に、実践知による学生の学びの学年比較を行った。具体的には、①ベテラン保育者の保育実践の語りを養成課程2年生と3年生が聞き、その感想を質的に分析し、「保育学生の実践知の学びの検討-現場保育者の語りを通して-」(芦澤清音・杉本真理子・岡田たつみ、2013年5月日本保育学会第66回大会発表予定)にまとめた。また、一方で②実務家教員による幼稚園課程の授業全15回をビデオで記録し、授業者と記録者で検討を継続し、「保育者養成校における実務家教員の課題と可能性に関する検討-自らの授業を振り返って-」(岡田たつみ、2013年5月日本保育学会第66回大会発表予定)としてまとめた。 1年間の活動を総括するため、2月に3チーム合同の全体合宿を行い、各チームの進行状況を確認、研究成果を共有し、さらに、25年度へ向けた計画を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Aチーム:戦前の我が国の保育者養成に関する歴史的検討は、ほぼ順調に進んでいる。 Bチーム:施設訪問、面接調査が予定の約半数しか実現しなかった。また、調査内容も、一般的、表面的で、計画当初予定していた一歩踏み込んだ内容を得ることが困難で、研究計画の根本的な見直しを必要としたため、年度末の全体合宿で、新たな方向性を検討した。25年度から、現場のニーズの把握を特定分野に焦点を当て、研究を進めていく。また、研究分担者を新たに加え、「男性保育者」に関する視点を加えることとした。 Cチーム:平均週1回の検討会、年度末にはチーム合宿を実施し、保育現場のベテラン保育者からの実践知の収集に関しては、やや進度が遅いながらも進めることができている。一方、学生の多角的継続調査は一部実施できているものの、大幅な研究計画の見直しを要する段階にきている。
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今後の研究の推進方策 |
Aチーム:計画通り、25年度は戦後の幼稚園教諭養成、ならびに保育士養成の出発時点に関する史的資料からの分析を進める。 Bチーム:現場からの4年制保育者養成に対する要請の視点を以下の2点に絞った上で、第1に、24年度に引き続き幼稚園・保育所の経営者・園長等管理職への面接調査を重ね、現場のニーズを把握する。第2に、面接調査結果を基に、大規模調査の質問項目の作成を行う。第3に、調査実施に向けた具体的作業に入る。 1)第1の視点は、保育現場で、自園保育者以外の“外注”により実施されることの多い「運動遊び」「音楽表現」の分野とする。①どのようなねらいで、実際はこれらの活動をどのように実施しているのか、②“外注”している場合はその具体的な様子、および利点と欠点を、③していない場合はその理由と自園内でどのように実施しているのか、さらに、④理想としてはどうあるべきと考えているのか、⑤それを実現するためには保育者養成に何を期待するかについての情報収集を行う。 2)第2の視点は、男性保育者養成である。4年制大学での保育者養成では、従来の短大・専修学校よりも男子学生の割合が高く、男性保育者は、今後、保育者全体に占める割合も高まることが予想される。男性保育者の養成は、保育者の待遇改善の問題も内包し、4年制大学にとって重要な課題となるであろう。 Cチーム:第1に、保育者の実践知の面接調査による収集とその質的分析のピッチを上げていく。質的分析は実に多くの労力が必要で、夏休み中の合宿等を計画している。第2に、実習経験による学生の幼児理解の質的変化の様相の把握について、24年度収集した資料の分析を進めると共に、新たに研究方法の検討を進め、その実施に着手する。
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次年度の研究費の使用計画 |
Aチーム:資料収集、文献複写等の費用を要する。 Bチーム:面接調査のための旅費、謝礼、質問紙調査用紙の作成費用を要する。 Cチーム:調査協力謝礼、面接記録(録音)の逐語記録作成費、合宿の旅費等を要する。 全体として:研究成果発表のための学会参加費・旅費、中間まとめの冊子印刷代他、全体会会合費、全体合宿のための旅費、文具等の消耗品費を要する。
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