研究課題/領域番号 |
24531030
|
研究機関 | 共栄大学 |
研究代表者 |
内田 千春 共栄大学, 教育学部, 准教授 (20460553)
|
研究分担者 |
内田 照久 独立行政法人大学入試センター, その他部局等, 准教授 (10280538)
鈴木 方子 岡崎女子大学, その他部局等, 講師 (20367692)
|
キーワード | 多文化教育 / 保育者養成 / 外国籍児童 / 言語発達 / 国際研究者交流(アメリカ) / 教師教育 / 就学前教育 |
研究概要 |
本研究では、これからの日本が向き合う多文化共生社会の現実に対処できる次世代の教員・保育者を育成するカリキュラムの開発を目標とし、H25年度は、以下の調査を行った。 (1)保育園・幼稚園・小学校における外国籍児童への援助や適応状態の現況調査: H24年度に調査したO市プレスクール事業の、フォローアップ調査(H25. 8月~9月)、H25年度実施のO市プレスクール事業の実態調査とカリキュラム研究(H25.12月~H26.3月)、保育園観察と保育者インタビュー(5園)、K市内保育園2園 園長インタビュー等を行った。これにより、外国籍児童の日本語理解について保育者が考えているよりも伸びていない事例が長期滞在児童に見られたり、巡回指導に日本語教育の専門家が回ることで保育現場の課題を議論・相談する機会が生まれるなどの利点が発見された。翻って、現在の保育現場に足りない「外国籍児童を受け入れる上での専門性」を整理し養成課程での学びにつなげる必要性が指摘された。 (2)アメリカの多文化共生教育との比較調査:前年度の調査結果を踏まえて、アメリカ合衆国の教員養成系大学でマイノリティの立場で教鞭をとっている大学教員2名に、教員養成課程での多文化教育を行うポイントと課題に関するインタビュー調査(H25年9月)を行い、多文化教育に関連する授業を2つ、計4時間参観し,シラバスの説明を受けながらカリキュラム全体との関係を把握した。授業の観察とインタビューを組み合わせたことで、具体的な日本のカリキュラムへの示唆を得ることができた。 (3)教師・保育者をめざす学生の異文化理解に関する意識調査と多文化教育カリキュラムの作成:(2)を参考に先行研究も踏まえながら、今年度試行するアクティビティを準備することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年岐阜県O市との協力関係ができたことにより、プレスクール事業及び就学前の時期から小学校へのつながりについての調査も併せて行うことができた。インタビュー調査等はほぼ計画通り進められたが、2~3月期の天候不順による交通機関麻痺により、やむを得ず中止した調査がある。それについては、H26年度に実施予定である。また、収集されたデータの分析も遅れているため、人的・物理的環境整備を行いH26年度前半期で後れを取り戻す予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
(1)外国籍児童への援助や適応状態、指導環境の現況調査【継続】:保育所・幼稚園等に在園する外国籍の子どものために小学校就学準備のためのプレスクール事業を行っている自治体の取り組みを、指導・授業への参与観察により地域を広げて継続調査する。保育所・幼稚園の外国籍児童を担任する保育者の意識調査(インタビュー)と保育内容調査(愛知県、岐阜県、静岡県)。 (2) 教師・保育者をめざす学生の異文化理解に関する意識調査【発展】:小学校教員や保育者を志望し教育実習に参加予定の関東・東海地方の大学の学生を対象にした異文化理解に関する質問紙調査を行い、カリキュラム作成に役立てる。 (3) 教員・保育者養成カリキュラムのアウトラインの試作【次の研究へ】: 既存の多文化教師教育に関連すると考えられる国内の研究をさらに整理し、2養成校で、1クラスずつ既存の授業の中に取り入れやすい活動を試行、ガイドラインを作成していく。 テキスト作成のための準備も行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
①天候(大雪等)により、予定していた調査が1件先送りになっている。 ②研究会議の費用について、他のシンポジウム等と抱き合わせにすることができたため、経費を節約できた。 遅れている調査分のデータ分析の費用と、多文化教育教材研究にあてる。 H26年度は最終年度におあたり考案しつつあるカリキュラムの実施や報告書の作成のための会議等を計画している。また、成果を学会にて報告する予定である。
|