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2013 年度 実施状況報告書

教職における「新しい職」の確立過程に関する実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 24531032
研究機関名城大学

研究代表者

木岡 一明  名城大学, 大学・学校づくり研究科, 教授 (10186182)

キーワード新しい職 / 主幹教諭 / ミドルリーダー / 教員リーダー / リーダーシップ / マネジメント・モデル / 学校組織 / 専門職基準
研究概要

計画書に基づき、国内外の事例調査と研究進捗報告を中心とした研究会を実施した。
国内調査については、昨年度に引き続き高知県における主幹教諭の職務実態調査を行った。さらに高知県の主幹教諭らが組織する研究グループとともに研究会を実施しながら、同県における主幹教諭が抱えている課題について教員自身の視点からとらえると共に、役割認識の向上・明確化に向けたワークショップを企画・実施した。
海外調査については、昨年度同様、ニュージーランドを訪問し、同国におけるスクールソーシャルワーカーの職務実態についてインタビュー調査を実施した。特に、今回は、ニュージーランドのスクールソーシャルワーカーがSocial Workers in Schools(略称:SWiS)と称せられることに着目して、初等・中等学校におけるソーシャルワーカーの位置づけとその役割を明らかにする目的で、昨年度の調査結果を基にして、福祉系と教育系の2つの政府機関と、2つのプロバイダー、ソーシャルワーカーが配置されている3つの学校に訪問し、それぞれの機関の役割や学校でのSWiSの位置づけをインタビューした。
研究会は、昨年度中に4回実施した。各回とも、研究メンバーに進捗状況を報告し合い、各担当事例の特徴について情報共有を進め、研究テーマにかかわる課題の明確化を図ることができた。また、2013年6月の日本教育経営学会での自由研究発表を踏まえて、新たに英国を比較検討対象として設定し、研究を進めた。
この間の研究成果については、学会発表のほか、研究論文として代表者所属機関の紀要に投稿し、掲載に至った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は、①「新しい職」に関する国内外の理論および政策動向に関する資料収集と分析、②海外における「新しい職」の確立過程に関する訪問調査の実施、③高知県における調査研究の継続と、他自治体における「新しい職」の展開状況および特徴の把握と訪問調査の実施、④全国学会での研究発表を通じた、積極的な研究成果の公表を目標に研究を進めてきた。
①については、国内外の関連文献の収集を進めるとともに、研究メンバー間で大枠としての分担を行い、研究課題について理論と政策の両面において研究知見を蓄積することができた。②については、カナダでの訪問調査を予定していたが、実現することができなかった。これについては、来年度実施する予定で準備を進めている。③については、昨年度中に複数回にわたって高知県を訪問し、充実した調査研究を行うことができた。また現地教員の協力を広く得られていることも特筆すべき成果である。ただし、他自治体への訪問調査は実現することができなかった。④については、日本教育経営学会において研究成果発表を行った。学会発表では、多数の聴衆を集めることに成功し、本課題に対する関心の高さを改めて実感することができた。また、本会での議論を踏まえ、新たな調査対象として英国を設定することができたことも、重要な成果であったと考える。
本研究グループは、遠隔地に居住する者で組織されているが、年度内に複数回にわたって研究会を設定することができた。このことが計画的に研究をすすめ、時宜を得た情報共有を促したものと考える。
以上から、本研究は「おおむね順調に進展している」と評価しうる。

今後の研究の推進方策

平成26年度は本研究課題の最終年度になる。来年度は、①引き続き、高知県調査を実施し、②諸外国の事例分析から得られた知見と同県の実態とを比較検討を行い、③「新しい職」確立に向けた要因や条件を整理する、の3点を研究課題として設定する。それらの成果を踏まえて、「新しい職」の確立過程のメカニズムの解明を行うことが来年度の主題である。具体的には次のような計画を準備している。
(1)文献・資料の収集と分析、研究会の開催:引き続き、関連文献・資料の読み込み、分析を行う。2014年6月に開催される日本教育経営学会前後を軸に複数回の研究会を開催し、全体討議によって情報の共有化と深化を図る。また学会発表の成果を踏まえ、今後の研究課題の明確化を進める。
(2)高知県事例の再調査、及び外国事例との比較検討:再度高知県への調査を実施し、外国調査で得られた知見の検証と比較検討を行う。特に、昨年度訪問できなかったカナダについては9月ごろに現地訪問調査が実行できるよう、調整を進める。また、国内の他事例についても、現在選定作業を進めており、海外との比較のみならず、国内比較も通じて、高知県事例の特性を明らかにする。
(3)研究成果の総括、研究成果の公表:全体のまとめを行い、「新しい職」確立のメカニズムの解明を行う。成果については、日本教育経営学会をはじめとした全国学会において広く公表する。また、これまでの研究成果については学会誌や大学紀要等への投稿・掲載を実現させる。

次年度の研究費の使用計画

昨年度に海外調査を予定していたが、メンバー間の日程調整等の課題があり、実行することができなかった。また国内における他事例の調査も予定していたが、こちらもスケジュールの都合で実施することができなかった。
次年度は、昨年度実施することができなかった外国調査(対象国:カナダ)と国内事例の調査研究の実施と、研究総括に向けた研究会の実施を活動の中心にする。このため、主として次の目的で研究費を執行予定である。
①カナダ・オンタリオ州での教員リーダー養成に関する調査、②高知県ならびに他の国内事例を対象にした調査、③リーダーシップ開発、組織開発に関する文献・資料の購入、④研究打ち合わせ会実施に伴う旅費、⑤研究成果発表に伴う旅費。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] アメリカにおける教員リーダーのスタンダードに関する一考察―教員リーダーシップ探究協議会のスタンダードに注目して―2014

    • 著者名/発表者名
      織田泰幸
    • 雑誌名

      大学・学校づくり研究

      巻: 6 ページ: 5-16

    • 査読あり
  • [雑誌論文] カナダ・オンタリオ州における学校ミドルをめぐる政策動向2014

    • 著者名/発表者名
      照屋翔大
    • 雑誌名

      大学・学校づくり研究

      巻: 6 ページ: 17-27

    • 査読あり
  • [学会発表] 教職における「新しい職」の確立過程に関する実証的研究(1)―問題の所在と分析フレームの整序―2013

    • 著者名/発表者名
      木岡一明・野村ゆかり・照屋翔大・織田泰幸・加藤崇英
    • 学会等名
      日本教育経営学会
    • 発表場所
      筑波大学
    • 年月日
      20130609-20130609

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公開日: 2015-05-28  

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