研究課題/領域番号 |
24531033
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
矢野 真 京都女子大学, 発達教育学部, 准教授 (00369472)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 実践的教材 / 造形領域 / 保育者の専門性 / 保育者養成 / 木育 / クロス・トレーニング・プログラム |
研究概要 |
本研究は,保育者養成課程を持つ大学と保育現場,地域,そして造形作家との連携により,実際の保育者養成における「保育者の専門性」,そしてその専門性を育てるために必要なことは何かということについて,保育現場や地域,造形作家との連携を通して造形領域における知識・技能・判断力などを具体的に明らかにし,「保育者の専門性」を育てるために必要な内容の提唱と実践を行った。 今年度(研究1年目)は,まず保育現場における造形領域の文献資料収集を行い,保育現場の保育者や保育者を目指す学生を中心に現状調査(造形領域の捉え方とその実践活動)を行った。そして,幼稚園や児童館等の子どもたちや教員を対象に,地域や造形作家との連携を行ったワークショップの実践,および保育者を目指す学生たちの学びについての分析を通して,造形領域の現状調査を行った。ワークショップの具体的教材としては,「木育」と「クロス・トレーニング・プログラム」を取り上げ,「保育者の専門性」としての造形領域における問題点の抽出と検討を行った。 その結果,「木育」および「クロス・トレーニング・プログラム」における造形活動を通して,造形と自然・地域とのかかわり,造形(表現)に関する技術,子どもや高齢者への援助技術といった,現職の保育者や学生の学びによる保育者としての成長についての知見が得られた。このように,保育者側の造形に関する専門的な知識やスキルの詳細を身につけることの重要性とともに,それ以上の造形領域における本質的な部分を抽出し,体験させることが重要であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在まで,保育現場における造形領域の文献資料収集について,保育現場を中心に現状調査(造形領域の捉え方とその実践活動)を行い,概ね調査を行うことができた。しかし,対象となった保育者については,造形領域におけるワークショップの実践を体験することが必要となるため,参加・集計人数については次年度もさらに確保していく必要がある。 幼稚園や児童館等の子どもたちや教員を対象として,地域や造形作家との連携を行ったワークショップの具体的な実践内容(教材)については,「木育」と「クロス・トレーニング・プログラム」を取り上げることによって,「保育者の専門性」としての造形領域における問題点の抽出と検討を行うことができた。その結果,「木育」および「クロス・トレーニング・プログラム」教材における造形活動を通して,現職の保育者や学生の学びによる保育者としての成長についての知見を得ることができた。結果として,保育者側の造形に関する専門的な知識やスキルの詳細を身につけることも重要であるが,それ以上に造形領域の本質的な部分を抽出し体験させるかが重要であることが明らかとなり,次年度の研究方策を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,今年度の現状調査のフィードバックを行う。そこで,保育現場や地域・造形作家との連携を通した造形領域におけるワークショップの提案と試行・検討を中心に行い,その教材研究の実践を行う。実践では,実際に参加した園や地域の人々および保育者を目指す学生を対象としたアンケート調査を実施する。アンケート調査は質問紙法および面接調査にて行う。そのアンケート結果と教材研究を通じた実践結果をもとに,造形領域における「保育者の専門性」を養成するための具体的な教材内容の検討を行う。アンケート調査や造形領域におけるワークショップを実施するにあたり,調査集計に関する専門的知識の提供と正確な調査集計を行うために,研究分担者を追加し,実際の現地調査やワークショップ等,複数の視点から考察を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は,保育現場や地域・造形作家との連携を通した造形領域におけるワークショップの提案と試行・検討を中心に行い,アンケート調査も同時に行いながら,その教材研究の実践を行う予定である。これらの試行を検討するにあたり,専門分野における知見を活かした評価を行うための現地調査等の立会いが必要となる。そのため,現地調査やプログラム実施予定施設への研究旅費および諸経費について配慮する必要がある。ワークショップにおける移動旅費,記録や画像・文章に関する編集機器,ワークショップおよびやアンケート調査に関するアルバイトや謝金,ワークショップ実施に必要な材料・教材・関連資料等の収集などへの使用を計画している。なお,次年度より研究分担者を追加し,実際の現地調査やワークショップ等の移動旅費を追加することにより,調査集計に関する正確な調査集計を行うために使用を予定している。 研究最終年度には,研究成果をwebなどによる公開を予定しているため,そのコンテンツ製作および公開費用に関して専門者に依頼する謝金を予算に組み込んでいる。
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