本研究では、教師の専門性として教育的タクトを位置付け、これをいかにして涵養するかについて実証的かつ原理的な探求を実施した。平成26年度はとくに、近年国内外でその重要性が認知されつつあり、盛んに言及されるようになってきている「リフレクション(省察)」について、その原理的な検討を行い発表した。 さらに、そのリフレクションの方策として①現象学的な記述を用いたリフレクション②リアリスティックアプローチに基づく他者との共同作業によるリフレクションの2点を提示し、それぞれについて実践を行うとともに成果を国内外の学会及び紀要において発表した。 ①の現象学的な記述に関しては、大学での授業の中で「秘密」「家」を子どもや大人がどのように経験しているかを学生と共に探究し、子どもの生活世界への敏感さがいかに涵養されるかを実証的に調査、研究し発表した。 ②のリアリスティックアプローチに基づくリフレクションについては、2014年11月に来日したオランダ人研究者F・コルトハーヘン教授を招聘し、学内の教員養成に携わる研究者に向けてワークショップを実施した。さらに、教育実習や大学における学びへのリフレクションを授業の中に取り入れることで、教員養成課程における学生達のリアリスティックな学びに資することを目指した。これらの一連の取り組みの成果は国内外の学会や雑誌論文として発表する他、2015年2月22日の大阪樟蔭女子大学リアリスティックアプローチ研究会成果報告会及び2015年3月28日の「学び続ける教育者のための協会」設立イベントにおいて、教員養成の他、様々な立場で養成に携わる研究者に向けてワークショップ型の報告会を実施した。
|