研究課題/領域番号 |
24531037
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大谷大学 |
研究代表者 |
小谷 卓也 大阪大谷大学, 教育学部, 准教授 (50411484)
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研究分担者 |
長瀬 美子 大阪大谷大学, 教育学部, 教授 (50247889)
田中 伸 大阪大谷大学, 教育学部, 講師 (70508465)
峯 恭子 大阪大谷大学, 教育学部, 講師 (90611187)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 幼児期の科学教育 / サイエンス・プロセス・スキルス / 幼小接続 / 科学的な遊び |
研究概要 |
本研究の2012年度の研究実績の具体的内容は、以下の様である。(1)研究協力園である富田林市立錦郡幼稚園の幼児を対象に、幼児期の科学教育としての「科学的な遊び」として「ものの浮き沈み遊び(5歳児対象、2012年7月実施)」、「色水遊び(4歳児対象、2012年5月-7月)」、「斜面ボール転がし遊び(4歳児対象、2013年1月実施)」の3種のプログラムを開発し、幼児に実施した。(2)研究協力校である堺市立大泉小学校及び私立はつしば学園小学校の第1学年及び2学年を対象に「物の溶け方のかがく(小学校1年生対象、2013年2月実施)」、「物の浮き沈みのかがく(小学校1年生対象、2013年3月実施)」、「音のかがく(小学校1・2年生対象、2013年3月実施)」の3種のプログラムを開発し、低学年児童に対して実施した。さらに(3)本研究の成果は、著書(小谷卓也: 第5章 発展的幼児教育の試み,「幼児教育学実践ハンドブック(長瀬美子・小谷卓也・ 田中伸 編著)」、風間書房、pp.75-78、pp.82-130,2013.)及び保育研究関連雑誌(小谷卓也:思考力を育む幼児期の「かがく」の実践,大阪保育問題研究会機関誌第318号、第319号、第320号、第321号、第322号、第323号)において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2012年度の本研究の目的及び計画は、①研究協力校園の子どもを対象に、幼児・低学年児童の自然事象に対する認知特性を「観察」・「コミュニケーション」スキルの観点から分析する、②研究協力校園を中心に、「観察」・「コミュニケーション」に関わる保育・授業実践実態を調査することであった。 まず①については、研究協力校園において、幼小接続型科学教育カリキュラムの開発・実施を行った。この結果、幼児期の教育における科学教育公立幼稚園において3つ、公立小学校において2つ、私立小学校において1つの計6つのプログラムを開発・実施しすることができた。さらに、それぞれの研究協力校園において選定した抽出幼児及び児童が、自然の事物・現象等の対象に向き合う思考過程を参与観察の手法を用いて記録することができた。これらの記録データは、2012年度末から現在にかけて量的及び質的に処理し、抽出幼児及び児童の認知特性を「観察」スキル及び「コミュニケーション」スキルの適用場面に特化して分析を行っている状況である。 また②については、関連する先行文献研究や日本保育学会・日本乳幼児教育学会等の発表及びシンポジウムに参加し、「観察」・「コミュニケーション」能力育成に関わる保育・授業実践実態について情報の収集を行ってきた。この結果、我が国の幼児期から低学年児童期にかけて「遊び」や「教科生活」において、自然の事物を取り上げる実践及び研究は多く見られたが、「観察」・「コミュニケーション」能力の育成を目的としたものは現在のところほとんど見られないことがわかった。 以上の理由から、2012年度の本研究の目的は、概ね達成できたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
2012年度の研究結果を基に本研究の2013年度計画では、以下のような研究方策を構築した。これらの研究の成果については、国内外の学会等で発表していく予定である。 (1)2012年度に実施した6つの幼児期及び低学年児童期の科学教育プログラムを実施した際に得られた抽出幼児及び児童の思考過程のデータから得られた認知特性の分析をさらに推し進めていく。 (2)認知特性の分析データを用いて幼児期及び低学年児童期の科学教育プログラムを修正・改良し、さらによりよいものに開発していく。 (3)改良されたカリキュラムを研究協力校園で実践し、抽出された幼児及び低学年児童の「観察」及び「コミュニケーション」能力の年齢による特性の違いを明らかにしていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
2013年度では上記(1)の研究遂行にあたり、研究費を(1)幼児期及び低学年児童期における科学教育に関する国内外の文献の収集、(2)幼児及び低学年児童の参与観察に必要なデジタルビデオカメラ、ICレコーダー等の記録機器と記憶媒体の購入、(3)文献収集及び調査、研究者招聘のための人件費、(4)研究データの量的及び質的解析に必要なソフトウェアの購入、(5)研究の成果を発表するための国内外の学会・研究会・シンポジウム等への参加旅費を主な目的として使用する予定である。
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