研究課題/領域番号 |
24531039
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
佐藤 和順 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (10413436)
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キーワード | 保育者 / ワーク・ライフ・バランス / 保育の質 / 学びの基礎力 |
研究概要 |
本研究は,保育者のワーク・ライフ・バランス(以下,WLB)と保育の質の関係性を検証し,保育者のWLBの実現を通して保育の質を向上させることを目的とするものである。具体的には,1.保育者のWLBの状況調査,2.「学びの基礎力」の醸成に着目した保育の質の調査,3.保育者のWLBと「学びの基礎力」醸成の関係性の調査から成り立っている。 本年度は主に1.の保育者のWLBの状況調査の調査結果の分析及び2.の保育の質を図る指標の作成を中心に実施した。 1.WLBの状況調査からは,保育者は理想としては仕事と家庭生活を大切したいと考えながらも,実際は仕事中心の生活であると感じていることが明らかになった。また,WLBと性別役割観等の意識には関連性があることも明らかとなった。 2.保育の質の指標化については,「積極的なかかわり」を視点に指標化を行った。特にほめる,積極的な身体接触及び子どもへの応答等が,保育者が保育に積極的に取り入れているかかわりであることが明らかとなった。 3.保育者のWLBと「学びの基礎力」醸成の関係性については,その前段階としてWLBの満足度の高い保育者は,保育の自己評価等が高い傾向にあることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.保育者のWLBの状況調査 (1)「WLB」と「幼児教育」の基礎的資料・文献等の検索・収集・複写・分類と整理の実施。(2)全国規模の保育者を対象とした質問紙調査結果の分析。保育者は理想としては仕事と家庭生活を大切したいと考えながらも,実際は仕事中心の生活であると感じていること等保育者のWLBの現状と課題が明らかになった。 2.「学びの基礎力」の醸成に着目した保育の質の調査 (1)研究対象園における「学びの基礎力」の実態調査の実施。研究対象園の幼稚園教諭・保育士が「学びの基礎力」をどのようにとらえるのかという共通認識の獲得と醸成のために研究会を実施した。(2)「積極的なかかわり」を視点にした「保育の質の指標」を作成した。 3.保育者のWLBと「学びの基礎力」醸成の関係性の調査 (1)両者の関係性を質問紙調査で検証するとともに,研究対象園でエスノグラフィーの手法を用いて調査を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
1.保育者のWLBの状況調査(1)「WLB」と「幼児教育」の基礎的資料・文献等の検索・収集・複写・分類と整理の継続。(2)わが国の保育者のWLBの現状と課題を踏まえた先進事例との比較調査(スウェーデンの保育者に対するインタビュー調査)。(3)WLBの実現は喫緊の課題であるので調査の結果をもとに保育者のWLB実現に寄与する図書を作成し,関係園・保育者等に配布。保育者のWLB実現を促すことができるような情報の共有を図る。 2.「学びの基礎力」の醸成に着目した保育の質の調査(1)研究対象園における「学びの基礎力」の調査の継続及び分析。(2)幼稚園教諭・小学校教諭・保育士が合同で「保育の質の指標」確定のための研究会の継続的実施。 3.保育者のWLBと「学びの基礎力」醸成の関係性の調査 研究対象園でエスノグラフィーの手法を用いた調査を継続的に行い,関係性を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
全国規模の質問紙調査の分析を受けて実施予定の海外との比較研究が,日程の都合で来年度実施となったため。 平成26年度の研究費使用計画は次の通りである。 ・「WLB」と「幼児教育」の基礎的資料・文献等の検索・収集・複写・分類と整理(図書購入費使用)・調査結果を受けての先進事例(スウェーデン)との比較研究(海外 調査・研究旅費・専門知識の提供使用)・研究成果(研究成果発表費(ホームページ関連)使用)・研究成果(学会発表等に係る国内 成果発表旅費,論文掲載に係る論文別刷費使用)・保育者のWLB実現のための図書『保育者のワーク・ライフ・バランスの実情と課題(仮)』の作成及び発送(印刷費使用,通信費使用)
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