研究課題/領域番号 |
24531041
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研究機関 | 就実大学 |
研究代表者 |
高木 亮 就実大学, 教育学部, 講師 (70521996)
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研究分担者 |
都丸 けい子 聖徳大学, 公私立大学の部局等, 講師 (40463822)
大和 真希子 福井大学, 教育地域科学部, 准教授 (60555879)
露口 健司 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (70312139)
川上 泰彦 佐賀大学, 文化教育学部, 准教授 (70436450)
北神 正行 国士舘大学, 体育学部, 教授 (80195247)
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キーワード | 教師・保育者のストレス / 教師・保育者のメンタルヘルス / 教師・保育者のキャリア / 学校経営 / 教育行政 / 教師・保育者の職能開発 |
研究概要 |
【25・26年度の申請目的と24年度までの状況】25・26年度は先行研究レビューとともに独自の新規調査の実施を行い,本研究計画表題である教育行政と学校経営,教師個人それぞれに向けた改善提案を科学的根拠と学術的公表につなげていく期間として提示している。24年度中に査読誌『学校メンタルヘルス』においてレビュー論文と教師ストレスに関する展望の共著論文を発表するなどの成果を上げ,1年間に『教職員ストレスチェッカー』システムを通して2000人分の新規データを確保を果たしている。 【25年度実施・成果の状況】2013年度は2県,2区の自治体より『教職員ストレスチェッカー』システムを通して合計5000超の教師の職業ストレス過程データの確保に成功し,このうち縦断的データとしては1県の3年にわたる1800超および1区の2年にわたる1000超のデータの確保に成功した。これにより世界的にも珍しい教師ストレスのパネルデータを大量に確保することに成功した。また,教師のキャリアに関する振り返り自由記述データも600超を確保している。 また,現在このような問題が放置されている教職の一部である保育者に関する検討も始めたこは本研究の領域面での大きな進展のひとつである。 調査研究の発表も順調に進み共著査読誌寄稿論文2部,非査読論文寄稿論文3部を発表し,平成26年3月現在掲載決定の査読誌寄稿論文もこれより別に2部存在する。これにより科学研究費補助金申請書面における教職員ストレスに関する問診調査データと電話相談データ,教員研修用キャリア自己分析データをそれぞれ複数の分析視点で論文として発表を完了したこととなる。また,25年夏には本研究計画代表者のホームページも開設し,学会等の著作権を侵害しない自らの学会発表配布資料等を中心に公開を始めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【24年度までの達成状況】本研究計画の実施状況報告書(平成24年度)においては「当初の計画以上に進展している」との自己評価を行ったがこれはデータ収集および既確保データの発表が査読誌発表(『日本教育経営学会紀要』など)を含めた論文として世に出すことに成功しつつ,25年度計画であった先行研究レビュー等が前倒しで行われたことによる。 【25年度の達成状況】25年度については日本教育心理学会自主シンポジウムに話題提供で参加するなど学校経営・教育行政以外の分野においても議論を深めることができた。また,査読誌2部(いずれも『九州教育経営学会紀要』)の発表と,査読誌2部の採択(『日本教育経営学会紀要』『九州教育経営学会紀要』いずれも26年度夏公刊予定)などの成果を上げている。これに26年度予定のホームページを前倒しで開設し成果公表状況は順調な進展状況であると考える。 データ収集においても同一人物の繋がりを持った縦断的データが3年分のもの1800超,2年分のもの1000超のものが確保できている。また,従来の『教職員ストレスチェッカー』システムに自治体要望の新規質問項目の検討を導入したため,別の角度からのデータの補強が進みつつある。このような状況でデータ収集状況については期待以上の成果を上げつつある。 しかしながら,縦断的データの分析に関するいわゆる「パネルデータ」の分析手法について主に分析スキルの未熟から未だ十分な分析を行いきれていない。加えて研究対象者の教職に保育者という従来研究上あまり注目してこなかった下位職域を加えたことなどから,本研究計画表題でもある教師・保育者個人と学校・園経営,教育行政それぞれへの提言を行うための根拠ある議論・研究成果蓄積が未だ不十分である。 これら想定以上の成果と新たに生じた課題を相互的に判断し「概ね順調」と自己評価することとした。
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今後の研究の推進方策 |
26年度の研究推進については次の3点を主軸に構成したい。(1)従来型の横断データとレビューの過去2年どおりの発表継続,(2)縦断的データの更なる蓄積と分析・発表の展開,(3)教師・保育者個人,学校・園経営,教育行財政における根拠ある課題の提示。 (1)については教師個人と学校組織,市町村単位の地域という三段階で検討を試みる。このためには教師個人の学校名記述入りのストレス調査データをすでに2県に渡って確保していることから学会発表と論文発表のみが課題であり,十分な研究課題の達成が可能な状況である。 (2)については1県1区の数千の2~3年分の縦断データが確保できている。しかしながら,パネルデータ分析などの統計処理が可能な統計ソフトおよび統計手法の習熟も含めて根本的な研究の蓄積が必要であり,本科研終了後の継続的な検討による研究課題達成も踏まえて見通しておく必要がある。 (3)については今までのレビューおよび各職種・職位(幼・小・中・高校の各学校段階の教諭と管理職,養護教諭,指導主事等)に関する分析・発表が一通り完了しつつある。あわせて,(1)の分析(主にマルチレベル分析を想定)が完了することにより,研究分担者・連携研究者ならびに学会発表等で広く議論を試み,教師個人と学校経営,教育行財政での対策分担を最適化するような提案を26年度中にまとめることが可能であると期待している。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究分担者(大和先生および川上先生)において昨年度に引き続き重大な家庭の事情が発生し、当初想定よりも研究に割ける時間が確保しえなかった。このため主に当初想定に比べ旅費の執行面を中心に予算にずれ込みの大きな原因である。高木においては消費税増税による駆け込み需要の関係でデスクトップパソコンの入荷が年度内に執行できなかったことも影響を与えている。 研究分担者の家庭の事情による予算執行の遅れは概ね一息つく見通しである。そのため、平成26年度において当初予定通り旅費等を中心とした研究成果発表において充分な活躍とずれ込み文と合わせた予算の執行が期待できる。
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