研究課題/領域番号 |
24531044
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 常磐会短期大学 |
研究代表者 |
卜田 真一郎 常磐会短期大学, その他部局等, 教授 (20353021)
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研究分担者 |
平野 知見 京都造形芸術大学, 芸術学部, 准教授 (10441122)
臼井 智美 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (30389811)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 多文化共生保育 / 文化化の状況要因 / 実践の多様性 |
研究概要 |
本研究は、多様なエスニック・グループが置かれた状況に応じた形で行われていた多文化共生保育実践に関する研究を、新たな枠組みを提示することで相互に比較可能にし、特定のエスニック・グループへの焦点化を超えた諸実践の統合的理解のための枠組みを構築することを目的としている。文献調査・フィールド調査・質問紙調査を通じて、在日外国人幼児を取り巻く課題の多様性に応じた各保育実践の多様性を、相互に関連付けて描出することを目指しており、24年度は、文献調査とフィールド調査が実施された。 文献調査では、日本における多文化共生保育に関わる研究論文の整理を行い、論文「日本における多文化共生保育研究の動向」として発表した。多文化共生保育に関わる研究論文を「多文化共生保育の状況と課題に関わる研究」「外国にルーツを持つ子どもの園生活の実態についての研究」「オールドカマーの子どもの保育に関わる研究」「多文化共生保育の理念に関わる研究」「多文化共生の視点からの保育内容に関わる研究」「多文化共生保育に関わる保育者養成に関わる研究」の6つのカテゴリーに分類し、研究動向を整理した。そこから、今後の多文化共生保育研究の課題として「『多文化共生保育』が意味することの範囲の広さを視野に入れた、研究全体を俯瞰できるような整理の必要性」、「多文化化の状況要因による実践の違いの整理と、状況の違いに応じた実践のありようの検討」「これまでの研究成果の積み上げをもとにした、より具体的な『多文化共生保育の指導法』の確立」の3点を確認した。 フィールド調査では、保育現場の多文化化の状況の違いによる保育実践の違いを明らかにするために、多文化化の状況要因に違いがある関西圏の4つの保育現場をフィールドとしたエピソード記録の収集と、保育者への聞き取り調査を実施中であり、収集されたデータから分析に着手している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
フィールド調査については、24年度は多文化化の状況要因に違いがある4つの保育現場をフィールドとしてエピソード記録の収集を行い、分析にも着手しはじめているが、より多くのエピソード記録の収集を目指しているため、25年度も調査を継続している。 保育者への聞き取り調査については、24年度は多文化化の状況要因に違いがある5園での聞き取りを予定していたが、聞き取り対象園との日程調整等の理由により、現在3園での聞き取りが終了した状態であり、当初の予定よりやや遅れての進行となっている。 質問紙調査について、予備調査を24年度内に実施予定であったが、質問内容の根拠となるフィールド調査(聞き取りおよび参与観察)のデータ収集と分析が当初の予定より遅れているため、質問紙調査の内容作成も併せて遅れている。ただし、質問紙調査については予備調査を25年度前半で実施できる見込みであり、遅れは25年度中に回復できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
25年度は、「質問紙調査の予備調査および本調査の実施」、「フィールド調査の継続と分析」、「文献調査および学習会の開催」の3点から研究を進める。 質問紙調査については、ききとり調査やフィールドノーツのデータを参考にしつつ、多文化化の状況とそこで生起している課題について、25年度前半において自由記述を中心とした予備調査を実施する。ここで得られた結果をもとに、調査項目を精査し、25年度内に本調査を実施予定である。 フィールド調査については、25年度においても24年度から継続して多文化化の状況要因が異なる4つの園における参与観察を継続的に実施し、エピソード記録の収集を行う。保育者に対する聞き取り調査については、対象園を拡大し、より多くの聞き取りデータを収集する方向性で研究を実施する。 文献調査については、25年度から26年度にかけて諸外国における多文化共生保育の研究動向についての文献調査を実施予定である。また、多様性に伴うさまざまなトピックについて関連領域の研究者等から学ぶ機会として学習会を実施予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度においては、上記した「質問紙調査の予備調査および本調査の実施」、「フィールド調査の継続と分析」、「文献調査および学習会の開催」の3点の研究を進めるために、次のような研究費の使用を計画している。 「質問紙調査の予備調査および本調査の実施」に関わっては、質問紙調査の郵送料として10万5千円(送信用郵送料6万円、返信用郵送料4万5千円)、質問紙調査データ入力謝金として4万円、質問紙発送等の作業にかかる人件費として1万5千円、および封筒代等として1万円を予定している。 フィールド調査については、フィールド調査に関わる交通費として8万円、フィールド調査にかかる物品費として2万円、ききとりデータ入力謝金として7万5千円を予定している。 文献調査については、多文化共生保育関連図書(海外の文献も含む)の購入代金として10万円、学習会講師謝礼として6万円(3万円×2回)、学習会講師旅費として8万円(4万円×2回)を予定している。また、これらの研究成果の発表を国内の学会において検討していることや、遠方での聞き取り調査等も検討していることから、その旅費として6万円を予定している。
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