研究課題/領域番号 |
24531047
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 国立教育政策研究所 |
研究代表者 |
葉養 正明 国立教育政策研究所, 教育政策・評価研究部, 部長 (30114119)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 大震災 / 東日本大震災 / 教育復興 / 学校再建 / キャリアパス / ソーシャルキャピタル / 復興計画 / 学校開発 |
研究概要 |
平成24年度は初年度であったため、科研費補助金の支給を受ける以前からの研究蓄積や被災地のネットワークなどを活用し、教育復旧復興過程の組織化のパターンや方式の違いで学校開発にどのような効果を与えるか、というテーマに本格的に取り組むため、探索的な研究や基礎データの収集を進めた。 具体的な研究作業としては、①震災に伴う就学人口動態の一覧表の作成、②震災前からの小中学校統廃合計画と震災後のそれの動向の記述、③岩手県宮古市やニュージーランドのクライストチャーチ、宮城県女川町、福島県富岡町などを候補地とした定点観測の着手、④福島県富岡町の小中学生の疎開先のデータの収集、などを進めた。 学校開発の指標化や教育復興計画における学校復興計画のデータ収集、分析などは、やや作業が遅れている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
広域的な被災地全体について分析に耐えうるデータを広汎に収集することには大きな困難が伴う。それがやや遅れ気味の主たる理由である。 しかし、国立教育政策研究所が監修、出版した教育復興に関連する市販図書2冊の作成作業と関係付けながら、被災自治体のかなりの数の訪問調査を進めてきた。そこで、当初の研究目的に基づく研究は順調に進んでいるが、学校復興を学校開発の結合させている事例の少なさや、教育復旧復興過程と学校開発との関係を直接的に結びつける先行的な研究蓄積が乏しいために、研究フレームの構築そのものから出発する必要がある、という課題にも直面している。 そこで、平成25年度は、研究フレームの設定の仕方の再検討を含め、東日本大震災による被災自治体における教育復興計画と学校再建計画のデータ収集、仮設住宅の配置状況のデータ収集、小中学生の通学圏域の変動などの作業を進める。 教育復旧復興過程と学校開発との関連については、定点観測地点を設定し、中・高校生のキャリアパスの研究や中学生のソーシャルキャピタル調査などを進める。それを基盤に、学校再建と学校開発(新しい学校づくり)との関係に迫る作業を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
教育復旧復興過程と学校開発との関係を直線的に解明することの困難がわかってきたので、定点m観測地点を設定し、被災した中高校生のキャリアパス、再建校、帰還した学校等における生徒のソーシャルキャピタルの実態や変動の分析を媒介項に、教育復旧復興過程と、就学校復活、再建、開発との関係性を辿る研究に方向転換する。 また、学校の再建や再編は、震災前から長期的に進んできた人口減少や就学人口減少、それに伴う学校統廃合や学校再編成との関連があるので、児童生徒の通学圏域の変動という視点も加え作業を進める。 全体的には、学校開発効果を被災校の子どもの学習環境の改善、革新という視点でとらえ、東日本大震災からの教育復旧復興過程のパターンと学校開発との関係の解明を目指す。 また、大震災からの教育復興過程のパターン化という視点から、ニュージーランド・クライストチャーチも定点観測地点に加える。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初3年目に積算していた助成金がやや少ないことがわかってきたため、今年度の研究費にはあえて残を出すことにした。2年目(次年度)の研究費は当初計画通りである。当初は福島県の被災地の子ども対象の調査経費(全国に疎開している)を算定していなかったため、このような使用計画を立てることにした。 また、今年度や来年度には、被災地全体をマクロにとらえるための調査も計画しており、そのための経費も考慮に入れた。
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