研究課題/領域番号 |
24531047
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研究機関 | 埼玉学園大学 |
研究代表者 |
葉養 正明 埼玉学園大学, 人間学部, 教授 (30114119)
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キーワード | 教育復興 / 東日本大震災 / カンタベリー地震 / ソーシャル・キャピタル / 学校統廃合 / 人口減少 / 学校開発 |
研究概要 |
①平成25年度は、平成23年度以降収集してきた、被災地における教育復興に関する膨大なデータ類の整理と分析に着手した。さらに東日本大震災被災地の定点観測として、岩手県宮古市、宮城県石巻市、亘理市等の訪問調査も実施した。 ②これらの実地調査については、国研で進められてきた三省(文部科学省、国土交通省、農林水産省)と日本建築学会、日本都市計画学会、日本都市計画家協会合同の研究会の作業とも密接に関わらせて進めてきた。この研究プロジェクトとリンクさせたことは、被災地全体の学校再建に関する建築的側面やまちづくりの動きを掌握できた点で、大きな意味があった。 ③この科研費を財源とした調査としては、東日本の上記被災地のほか、ニュージーランド調査も実施した。具体的には、クライストチャーチ市への訪問、同市の被災校ヒアリング、そして震災に起因した生徒の学習状況に関するヒアリングのため、ウェリントンの教育研究所(NZCER)も訪問した。カンタベリー地震前後の生徒の学習状況のデータ分析からは、被災の影響は見られない、という教育研究者の話が印象的であった。 ④平成25年度には、以前から着手を検討していた「中学生を取り巻く社会環境と学習・健康に関する調査」を某市を対象に実施した。中学校長会、教育委員会の全面的な協力を得て、約1500名の生徒を対象にした悉皆調査を実施した。回収率は94.5%に達した。質問紙は、平成19年度に科研費プロジェクトの一環として実施されたデータとの対比を意図し、一部は同じワーディングを用いた。学校や教職員に対する生徒の好意的な見方は、どのような設問についても増加している、というのが印象的である。さらに、立ち入った分析は、平成26年度の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①平成25年度、26年度と、所属大学を異動したため、それに伴う各種事務処理などが必要となったため、研究に注ぐ時間が必ずしも、十分ではなかった。 ②しかし、かねてからの懸案としていた平成19年と25年の被災地対象の生徒の生活と学習の調査が実施でき、教育復興の状況や課題、学校開発を有効に進めるための条件の解明を進めることができたのは、大きな前進であった。 ③全般的には、研究のとりまとめに向けて、作業は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
①平成26年度はとりまとめ年度になるので、震災後4年間に及ぶなデータの整理や解析を進め、本科研費の主要課題である「教育復旧復興を梃子とした学校開発」の動向や実態、懸案を中心に、報告書の作成を進める予定である。 ②この作業を進める上では、人口減(自然減、社会減)、学校統廃合、学校再建、子どもの生活と学習の環境と実態の変動、などについてデータの整理と補充、解析などが必要となる。 今年度は、その観点に立ち、補充調査も含め、報告書を作成するための作業を進める。なお、補充調査として、被災地における廃校のもたらしている影響の解明等を検討している。 ③また、学校再建や学校開発を進める上で、学校と地域との協働関係構築が鍵になることが考えられるので、このテーマに関連し「学校と外部セクターの連携協力」についても、補充調査に組み入れることを想定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
国立教育政策研究所から大学に転出したことに伴い、授業等との関係で、実地調査旅費が十分に消化できなかったことが主たる理由である。 ①今年度は最終年度に当たるので、次年度使用額は、当初積算していなかった報告書印刷経費にあてる。 ②福島県の子どもたちの生活と学習環境調査をあらたに実施し、調査研究全体のよりいっそうの充実を図る。 ③収集データの整理や解析には多大な労力がかかることが予測されるので、外部機関の支援を受け、作業の効率化を図る。そのための経費に充てる。
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