研究課題/領域番号 |
24531050
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人国立女性教育会館 |
研究代表者 |
野依 智子 独立行政法人国立女性教育会館, 研究国際室, 研究員 (40467882)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 若年ホームレス / 生育家族 / 労働からの排除 / 生活支援 / 就労支援 / 社会的自立 / 家族支援 / 教育と福祉 |
研究概要 |
平成24年度は、北九州の若年ホームレスを対象に、彼/彼女らの生育家族の構成と家族関係の質、並びに職歴を中心にヒアリング調査を実施した。6月から翌年2月までに男性20名女性1名、あわせて21名にヒアリングした。平均年齢37.8歳。21名中、40代の6名は省いた。 学歴は、大学1名、大学中退1名、専門学校1名、高校8名、あわせて11名が高卒以上、職業訓練校1名、職業訓練校中退1名、高校中退1名、中学1名である。2007年に実施した50代・60代のホームレス調査(以下、2007年調査という)では、62名中高校25名、中学23名、職業訓練校6名、専門学校4名、高校中退2名、大学中退2名で、明らかに若年ホームレスは高卒が増加している。結婚歴については、15名中未婚が11名、離婚が3名、既婚1名(女性)。2007年調査では、未婚35名(56.5%)、離婚・死別27名(43.5%)で、年齢的なものもあるのであろう、若年ホームレスは未婚者が多い。初職については、「正社員」が15名中9名、アルバイト・日雇い・見習いなどが6名である。2007年調査では、62名中45名(72.6%)が「正社員(常勤職員・従業員)」で、2007年調査の方が若年ホームレスより、「正社員」の率が若干高い。さらに、実際のヒアリング内容から、若年ホームレスでいう「正社員」は、時給制・日給制であったり、社会保険が一切ついていないケースもあった。 生育家族との関係については、18歳までに両親が離婚・死別したケースは、15名中7名であった。これは、50代・60代ホームレスのおよそ2割をはるかに超える割合である。つまり、従来のホームレスに比べて、若年ホームレスの生育家族にはひとり親世帯や「両親ともにいなかった」ケースが多いといえる。 以上のように、若年ホームレスは初職が不安定で生育家族も不安定な状況であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、若年ホームレスに着目し、生育家族との関係性を明らかにした上で、彼/彼女らの生活支援と就労意欲の醸成のためのシステムを構築することである。 システムを構築するための実態把握として、研究期間3年の初年度は、彼/彼女らの職歴と生育家族の構成や家族関係についてヒアリングを行った。結果、初職から非正規であったり、「正社員」といわれても日給制であったり、社会保険は一切ついていなかったりと、雇用形態が不安定であることがわかった。また、生育家族については、およそ半数がひとり親世帯もしくは「両親ともにいなかった」ケースであり、その生育過程は精神的にも経済的にもきわめて不安定であることがわかった。 以上から、彼/彼女らの生活支援・就労支援には、家族関係にも関わる家族支援をシステムに位置づけることが必要であることが明らかとなった。 このように初年度のヒアリング結果から、支援のシステムに必要な内容を明らかにするこトができた。
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今後の研究の推進方策 |
若年ホームレスの特徴をさらに明確にするために、今年度は、50代・60代のホームレスを対象にしたヒアリングを実施し、若年ホームレスと従来のホームレスの生育家族の構成や家族関係について比較する。 調査対象は、NPO法人北九州ホームレス支援機構が独自に実施している自立支援住宅退所者20名である。自立支援住宅は、就労自立の対象とならない高齢ホームレスもしくは病気などのため「稼働能力がない」と判断された50代・60代のホームレスが入居する中間支援施設である。研究代表者は、2008年にこの自立支援住宅退所者80名にヒアリング調査を実施しており、その追跡調査としての意味もあるが、前回の調査では、生育家族の関係性についてはあまり聞いておらず、今回、その関係性について詳しくヒアリングする。また、初職や職歴についても、経験してきた労働現場での「働き方」についても詳細をヒアリングする。なぜならば、若年ホームレスの労働実態は長時間労働・低賃金に加えて、ノルマの達成など厳しい労働環境さらに職場での人間関係の悪化のために働くことへの充足感を得ることができないだけでなく、自己有用感を喪失しているケースもあった。そうした、労働現場と労働環境の悪化を明白にするためにも、50代・60代のホームレスの経験してきた労働現場の実態と比較する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし。
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