平成26年度は、ホームレスに寄り添った自立支援の事例調査として社会福祉法人グリーンコープ抱樸館福岡でのヒアリング調査、ならびに自立者の居場所づくりとして「カフェ・さんぽみち」の見学を行った。ヒアリング調査は平成25年度中高年調査の補充の意味もあり、中高年の女性を対象に行った。結果、女性は離婚などによって家族との関係を喪失することが、ホームレス状態になる要因であることが改めて明らかになった。すなわち事例1は、中卒で非正規雇用の後結婚→離婚→臨時・アルバイトなどの不安定就労→再婚→離婚→不安定就労というように4回の結婚と不安定就労によって生活を維持してきた。つまり、結婚によって男性の被扶養家族になることにって生活してきたといえる。このことはつまり離婚や死別などによって男性の被扶養家族でなくなった場合、ホームレス状態になる可能性が大きいということである。男性は失業という労働からの排除によってホームレスになるが、女性は家族からの排除によってホームレスになることが改めて明らかである。 次いで、ホームレスの就労支援と女性ホームレスの保護施設についての韓国調査を実施した。対象は、釜山ホームレス総合支援センターとソウル特別市の女性保健福祉部である。 釜山ホームレス総合支援センターは、ワンストップ・システムをめざした複合施設で、1階には雇用・労働部から委託された就労情報提供コーナーがあり、2階から4階は入所施設になっている。就労と自立に向けた個別のケース・カンファレンスを行っている。また、自立に向けた自尊感情を高めるために人文学的支援プログラムという大学での講義を実施しており参考になった。 ソウル特別市の女性ホームレス数は、2014年上半期で1305名中133名で約1割。これは日本よりも女性比率が高い。しかし、年齢層は40~50代が5割、50代以上が5割で、施設からの自立は困難であるとのこと。
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