本研究は、近年、学校現場で活躍する地域コーディネーターやシニアボランティアが抱える課題を検証し、学校支援のコーディネート活動やボランティア活動の課題解決につながる研修プログラムとマニュアルの作成を目的とした。 シニアの学校支援ボランティアの状況について、学校支援コーディネーターを対象にインタビューを実施した。そこから抽出された課題をもとに、シニアボランティアを活かすコーディネートに関する研修プログラムを開発した。プログラムは、コーディネーターの現状と課題、高齢者の理解(身体的特徴、認知的特徴)、シニアボランティアを活かした具体的な方法から構成され、神奈川県横浜市、福島県相馬市、東京都町田市にて研修を実施した。 横浜市内のA小学校にて、6年生の全学級(3学級、児童数103人)の図工の授業を、地域のシニアボランティアが支援するプログラムを週に1回2か月間実施した。プログラムの事前事後にて、高齢者に対する意識のクイズであるChild-Adolescent Facts on Aging Quiz(CAFAQ)を実施した。介入後の高齢者に対するCAFAQの合計スコアが下がったことから、シニアボランティアとの交流が必ずしも正しい高齢者の認識につながらなかったことが示唆された。ただし、同クイズのポジティブスコアが有意に上がったことから、高齢者をより肯定的に見るようになった傾向が見られた。 最終年度は、研究成果について日本世代間交流学会、全米老年学会等で発表した。また、それまでの研究成果をもとに、「学校支援コーディネーターのためのシニアボランティアを活かすコーディネートマニュアル」及び「シニアボランティアのための学校支援スタートマニュアル」を制作し配布した。
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