平成26年度には、最終年度として以下の研究と発表を行った。 1、分担者の木村直弘氏が「音楽学(あるいは芸能研究)から震災(あるいは震災復興)」へのアプローチ」(日本教育大学協会全国音楽部門大学部会第39回全国大会・第6分科会(音楽学)2014.5.17 札幌市教育文化会館)を企画・司会し、研究協力者の岩澤孝子氏が岩手県普代村の鵜鳥神楽を事例に、2011東日本震災後の芸能の再生・復興支援のための研究者の役割について提言し、討論を重ねた。 2、岩泉町の中野七頭舞について継続調査を行った。平成26年度には、学校での活動に広がりが見られ、例えば岩泉高校の高校生が国内外で公演を行う等、震災を機にグローカルな展開を見せており、新しい文化的コンテクストの事例として解釈できる。 3、岩手県の国公立小学校・中学校を対象とする平成26年度の郷土芸能教育実施状況についてのアンケート調査を研究代表者が行い、報告書を作成した。(一社)岩手県文化財愛護協会により平成10、13、15年に行われた同様のアンケートの追跡調査として実施した。その結果、平成15年に比べ、学校における郷土芸能教育の実施率は、少子化の影響等もあり、中学校では10%減少し35%であったが、小学校では減少は4%に留まり、63%であった。中でも、被災地の学校からは、運動会や文化祭等での芸能の発表が地域にとって「復興に向けた喜びやシンボル」となっている報告が寄せられた。これらの報告を元に報告書においては、現状のデータ記録とともに、地域文化の再生や復興へ向けての教育プログラムの基礎となり得る資料を作成し、学会発表を行い、伝統文化の継承と教育の在り方について検証した(日本学校音楽教育実践学会東北支部例会 2015.3.8岩手大学)。
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