東日本大震災がもたらした留学生および留学生支援への影響の検証と次世代の留学生教育・支援施策への提言に関する研究の成果を論文にまとめると同時に調査結果をもとに革新的な教育ツールを用いて開発した他大学との防災、減災、復興をテーマとした共同教育を実践した。 論文は『大学マネジメント』平成27年4月号にて「東日本大震災の留学生への影響と防災・減災教育実践の取組」として掲載された。東日本大震災被災時の留学生の状況、発災7日までの行動、震災前後の大学の情報提供や支援等に対する評価についての調査結果をまとめた。本研究の大きな成果の一つといえる。 研究結果を共同教育実践につなげる取り組みも本研究化の重要な成果である。南海トラフ地震に備え、とりわけ留学生向け防災教育や災害研究に力を入れる名古屋大学と、それぞれの教育資源を提供し合い、防災・減災教育を英語で共同開講した。両校の災害研究第一人者や地方自治体の職員がテレビ会議システムを使って講義を行い、SNSを通じて両校の学生が協働プロジェクトに取り組んだ。また被災地での共同スタディーツアーにて学習の成果を発表する機会を設けた。学生の授業に対する評価は大変高く、同様のスタディツアーを新入留学生向けに企画したいと申し出があったほどであった。研究成果が教育に還元され、さらに学生の自発的な他者への啓発活動や防災活動につながるよき例を提示できた。 また、調査結果と災害時の筆者の経験をもとに、現在、国際交流に携わる教職員の震災時対応ガイドラインも最終的な見直しに入っている。さらに日本全国の留学生受け入れ数の多い大学、地方自治体が発行する留学生を対象とした防災・地震対応ガイドブック(HP上の情報提供含む)の分析を通して防災・減災関連の情報発信のあり方に関する検証する新たな調査にも着手するなど、本研究で得られた成果をさらなる研究へつなげる試みも始めている。
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