研究課題/領域番号 |
24531054
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
高野 篤子 横浜市立大学, 都市社会文化研究科, 客員准教授 (30513048)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 大学管理運営職 / 大学院課程 / 国際情報交換 / アメリカ:イギリス / スタッフデベロップメント(SD) |
研究概要 |
本研究の目的は,教員と協働できる大学職員を養成する諸外国の大学院課程の現状を捉えることにあり,その特徴と効能を検証することにより,日本で大学職員を育成する大学院課程の発展の可能性に関する知見を導出することである。 本研究を進めるにあたり,大学職員という専門性のゆらぎ,またその職員を養成する大学院課程としての正当性のゆらぎを排除することはできない。こうした研究対象の特殊性を考慮し,本年度は初年度としてイギリスとアメリカの大学における管理運営の組織構造と大学職員の役割分担,および大学職員を養成する大学院課程(高等教育プログラム)の調査を実施した。 基本的に日本,アメリカ,イギリスにおける学術雑誌,学術書,学術新聞の資料,政府の統計資料等の高等教育関連の文献研究と,渡英および渡米し大学関係者への聞き取り調査を行った。できるだけ汎用性の高い統計データや資料をもとに大学職員の専門性について検討し,それぞれの国の歴史的な経緯と大学の管理運営組織・体制の現状をふまえて職員すなわち大学院にて養成対象となる大学管理運営職の措定を試みた。また大学職員の能力開発を行なう大学院課程である高等教育(Higher Education)プログラムについては,次年度以降から深く探求を進めるために大学院課程の数および存在の有無を明らかにする手がかりとなる資料等を収集した。 以上を通して,英米の大学における大学管理運営職のキャリアパスを含めた実像と大学院教育の効能について考察を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はじめから日本にて資料収集に当たるとともに,来日したイギリスの高等教育関係者,また連携研究者らとイギリスの高等教育事情や大学院教育等について意見交換を行った。春季から夏季にかけて文献資料を収集するとともに分析を行った。 夏季にPCのハードディスクが破損するトラブルが発生し,データ復旧に日数を要したものの,当初の予定通り秋季には渡英することができた。イギリスで4大学の関係者にインタビュー調査を実施し,帰国後に現地で収集した資料も含め比較検討を加え,学会発表を行った。 秋季から冬季にかけて引き続き資料を収集,分析するとともに,冬季に渡米し,2つの大学関連団体および1大学を訪問し,インタビュー調査および情報収集を行った。年度のおわりには来日したアメリカの高等教育関係者と意見交換を行った。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に収集した国内外の文献資料およびデータを基に,大学名・所在地・提供組織・授与学位等々の概要を整理し,職員の能力開発を行なう大学院一覧を作成することとする。その後,作成した大学院課程(高等教育プログラム)一覧を基に,各大学院における教育活動と教育評価について特に授与学位との関連に着目し,大学院課程の類型化を試みる。代表的な大学院課程を抽出し,担当教員と修了生へ能力開発とキャリア形成上の効果に関するアンケート調査を準備する。具体的には以下の手順で進める。 第1に,大学院課程(高等教育プログラム)の教育目標と教育の成果に関する調査を実施する。大学院課程の到達目標と教育のアウトカムを主軸に,目指される職員像,獲得されるべき能力・スキル・態度を把握することとする。 第2に,大学院課程(高等教育プログラム)の実施体制と教育の内容・方法に関する調査を実施する。第1の調査と併行して(1)設定した学習成果の目標水準達成を可能にするカリキュラムが組まれているか,(2)学習成果の達成度を測定するのに効果的な評価が行われているか,(3)担当教員が実務家教員であるのか否か等を検討し,職員の能力開発で汎用化できる内容・方法を解明する。 第3に,上記の第1と第2における調査をもとに,国別に大学院課程(高等教育プログラム)の類型化を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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