今日、国際学力調査の得点の高さや国際社会における経済的台頭等を背景に、日本をはじめとする東アジア諸国の学校教育は国際的にも学力面で注目されている。日本の授業研究、レッスン・スタディのモデルは、今日では国際的に広く参照されるようになっている。 しかし、こうした「日本型」への注目は、日本型教育モデルの学力面に偏重し、モデルのもとでは学力面と不可分に結びついている人間形成的な側面に関しては、国際的な発信がなされてこなかったこともあり、ほぼ国際的には知られていない。それも、今日、世界的に、21世紀型の資質や能力に関連して、社会・感情面での育成、全人的な人間形成教育の必要性が唱えられる文脈においてのことである。 本研究では、こうした状況の中で、「日本型」人間形成教育のモデルを、国際的な議論の俎上にあげ、世界的に関心の高まっている本テーマに関して、日本からの発信、双方的な情報交流がしうる土台作りに力を注いできた。最終年度においては、国際発信力の向上に焦点を当てた。一つには、東京大学教育学研究科附属の学校教育高度化センターの研究プロジェクトの一つとして展開し、国際発信すべき日本の特徴的な人間形成に関連した教育について募集し、ホームページからの国際発信を行なってきた。また、本テーマに関連した海外視察団を受入れ、海外での展開を後押しすると同時に、本研究代表者(本年度上記センターのセンター長)が海外において教師教育関連の組織において発信してきた。また、2015年度内に本研究の調査をもとにした章を含む著書をRoutledgeから出版する予定であり、既に出版契約も交わしている(恒吉編)。
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