米国のビジティング・ティーチャーと日本(主に高知県)の福祉教員を比較対照させ、教育福祉を通じた学校・家庭・労働の再編過程を描いた。ビジティング・ティーチャーは就学義務法制が強化され年少労働の芽が摘まれていく時代に登場し、新移民や軽度知的障害などそれまで対象からこぼれ落ちていた存在の包摂を追求した。また対象年齢を広げ職業指導も守備範囲にした。一度職業世界と断ち切った上で職業準備に向かわせる学校の両義的役割を担った。他方福祉教員の場合、学校に来させるために生業の道を塞ぎ結果的に長欠生徒の生存保障を脅かしかねない面と、教育扶助の取得に積極的に動き生存保障に寄与する働きという両義的性格が認められた。
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