これまで実施してきた対象国の民営初等教育の分析について、本年度は補足的な調査を実施し、このテーマに関する知見を拡げるとともに、新たな視点から初等民営教育の特質を検討した。これらは具体的には、キリスト教主義の私立学校と国際的機関によるカリキュラム認証を受けているインターナショナルスクールである。 前者については、植民地時代からの伝統的なミッションスクールに加えて、キリスト教の理念にしたがった規律ある教育という保護者・親のニーズに応えた学校が、近年発展してきていることが確認された。 後者については、一つの私立学校のグループのなかに、政府のカリキュラムに準拠した学校と国際バカロレア(IB)やケンブリッジなどの国際的修了認定機関の認証を受けたインターナショナルスクールが併存するケースや、1校のインターナショナルスクールが、国際認定機関の認証と国内の政府系機関の認証を複数受けているケースが確認された。政府立の学校や私立校であってもナショナルカリキュラムに従った学校では、知識の詰め込みによる試験準備が求められる中等教育段階の修了試験以外の選択肢はないが、私立学校の場合には、保護者・親の教育方針やニーズ、また子どもの適性に応じて、ホリステーックで活動や経験を重視する教育を選択肢することが可能である。 また、教師の児童生徒に対する手厚いコミットメントが私立学校のひとつのセールスポイントであると考えられる傾向があるのに対し、政府立の学校の児童生徒に比べて、自立しておおらず、教師に依存しがちであるとの指摘もみられる。、
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