研究課題/領域番号 |
24531059
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
吉谷 武志 東京学芸大学, 国際教育センター, 教授 (60182747)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 異文化間教育 / 教員研修 / 欧州審議会 / Pestalozzi Programme / 国際機関 |
研究概要 |
本研究は、多文化社会となったヨーロッパ各国において、多文化共生の鍵となる教育として喫緊の課題となっている異文化間教育(これは市民性教育の一つの重要な柱であるが、)を、各国において普及するために様々な事業(基礎的、理論的研究、教員や実践家、団体の奨励策、セミナー、さらに政策提言等あらゆる分野の事業)を行っている欧州審議会(Council of Europe、本部フランス、ストラスブール、欧州評議会とも称される。)の異文化間教育実践のための教員セミナー、トレーニングの理論と実践を明らかにする事を第一の目的としている。 本初年度においては、この国際機関の当該教員研修プログラムであるPestalozzi Programmeの責任者、Josef Huber氏を訪問し、その理論的根拠、教員、教育者研修の実態についてインタビューし、その概要を明らかにした。また、同時に、訪問時にこのプログラムにおける各種の報告書、会議資料等を譲り受け、その分析を行った。 さらに、欧州審議会と協力して教員研修を実施しているバーデン・ビュルデンビルグ州立教員研修センター(Bad Wildbad, Germany)での研修に関する実地調査を行うと共に、スロベニアで開催された欧州審議会(Pestalozzi Programme)主催の加盟各国教員に対する異文化間教育研修(開催地:Ljubljana, Slovenia)に参加して、研修の実際について実地調査を行った。 以上の訪問調査(インタビュー、参与観察)と収集資料の分析により、欧州審議会の実施する異文化間教育教員研修の理論的、実践的背景について、その概要を把握することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は、多文化社会となったヨーロッパ各国において、多文化共生のための教育を担う教員にその基本となる異文化間教育を行うための教員研修の理論と実践、実際の研修について明らかにするとともに、日本における教員の資質向上に寄与しうる知見を得ることを目的としている。特に、日本ではほとんど知られていないが、ヨーロッパにおける異文化間教育の普及の中核に位置する欧州審議会の教育施策、とくに教員への異文化間教育について明らかにすることにある。 平成24年度は、研究計画の初年度であったが、過去の準備状況に則りこのPestalozzi Progurammeの責任者であるJ. Huber氏へのインタビューと関連資料の収集、さらに実際の教員研修プログラムへの参加・参与観察、国際的な教員研修実施機関における研修の参観、責任者へのインタビューなどを通して、実地調査でしか果たし得ない知見を得ることができた。 また、異文化間教育、平和教育については欧州地区でも活発な活動を行っているNGOであるアンネ・フランク財団の異文化間教育プログラムに関する調査も、実地調査時に合わせて取り入れることができた。 以上のような調査、資料収集、インタビュー、さらに収集資料の整理、分析がかなりの部分で計画上の前倒しが達成されたことで、当初予定より進んでいるという判断(自己点検評価)の根拠となっている。 ただし、こうした計画の倒しにより予算執行計画が変更されたが、物品の購入で予定していた文献資料については、非売品である会議資料等の収集により補うに余りあるものが得られたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に実施した訪問調査(欧州審議会、Pestalozzi Programme主催の研修会、ドイツ教員研修センター)とその際に収集した各種資料の分析をすすめ、あわせて異文化間教育、多文化教育における教員研修関係の理論的な文献等を収集、分析を進める事で、多文化社会に相応しい教員の資質を養成するために必要な理論的、実践的な知見について、引き続き追求する。 これに合わせて、欧州審議会、ドイツ教員研修センターの実施する教員研修を受講した参加者(H24年度に参加した研修の名簿を利用)に研修に対する評価、実用性等について聞き取りを行う予定である。これについては、オーストリアからの参加者に了解を得ている。 さらに、上記の調査、資料分析とともに、ヨーロッパにおける異文化間教育研究の就寝的な団体であるIAIE(International Association for Interculturtal Education)がj開催する国際研究集会(主会場・ザグレブ大学、Zagreb, Croatia)において異文化間教育に関する研究発表を行うとと共に、この領域の研修者との意見交換を行う予定である。この研究集会は、「Unity and Disunity, Connections and Separations: Zagreb, Croatia September 17-21, 2013」と題されるもので、多くの知見をうることが期待される。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当無し
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