研究課題/領域番号 |
24531062
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
森下 稔 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 准教授 (60300498)
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研究分担者 |
平田 利文 大分大学, 教育福祉科学部, 教授 (20173239)
S Kampeeraparb 名古屋大学, 国際開発研究科, 講師 (90362219)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 教育学 / 比較教育 / タイ / カリキュラム / 国際情報交換(タイ) |
研究概要 |
本研究では、タイの「2001年基礎教育カリキュラム」およびその一部改訂版である「2008年基礎教育カリキュラム」に関して、①基礎教育カリキュラム改革の成果を検証し、②「2008年基礎教育カリキュラム」の実施状況を解明し、③「学校を基盤としたカリキュラム開発」がどのように改善されているかを明らかにすることを目的としている。 この目的の達成のため、平成24年度においては、①カリキュラムに関する文献・資料の収集・整理・分析のため、研究分担者スネートの監督の下、名古屋大学において研究補助者を雇いあげて作業を行うと共に、2008年版の日本語訳に取り組み、公表の準備を進めた。また、②カリキュラム改革に関する個別情報の集約・統合のため、メールによる情報交換を行った上で、1月に名古屋大学において研究打合せ会議を開催し、当年度の調査実施計画を立案した。さらに、③3月には、海外共同研究者であるチャンタナー・ナレスワン大学准教授の協力を得て、共同研究者全員による合同調査をタイ・バンコクにおいて行った。この調査では、カリキュラム政策を所管する教育省基礎教育委員会事務局においてカリキュラム改革政策の経緯や進捗状況について、バンコクにおける教員養成の拠点であるチャンカセーム・ラーチャパット大学において教員養成・研修の実情について聞き取り調査を行った。さらに、国立学校のモデル校として、中等教育段階ではヨーティンブラナ学校、初等教育段階ではパヤタイ学校を訪問視察した。 この調査の結果、2008年版は2001年版の実施上の問題点解消に主眼が置かれて策定されたもので、学習成果についての十分な検証・評価のプロセスを経ているとは言いがたいことが明らかとなった。その一方で、モデル校では、曖昧な記述の多くが見直され明確になったとの評価がなされていることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究における平成24年度の研究実施計画の主要な項目である①カリキュラムに関する文献・資料の収集・整理・分析、②カリキュラム改革に関する個別情報の集約・統合、③タイにおける調査について、いずれも順調に進展することができている。 文献・資料については、現地調査において最新動向をも把握することができる40点あまりを収集することができた。ただし、計画では2008年版の日本語訳を中間報告書(資料集)として公表し、ホームページを制作して公開する予定であったが、訳文の一部により慎重な吟味が必要とされると判断されたため次年度に延期している。 また、タイ調査の結果を踏まえ、研究期間全体の研究実施計画をより明確で具体的な者に改善することができ、一部の成果に関して、2013年6月に行われる世界比較教育学会(WCCES)および同7月に行われる日本比較教育学会において発表する準備を進めている。さらに、同8月には様々な学校タイプ別に2008年基礎教育カリキュラムの実施状況を実証的に明らかにするための2回目の現地調査を、チェンライ県、パヤオ県、ウッタラディット県、ピサヌローク県、ピチット県の10校程度において実施する準備が整った。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度においてはまず、本研究メンバーによる研究成果の蓄積および本研究による平成24年度の成果を世界比較教育学会および日本比較教育学会において国内外に発信し、そこで得られた批評等を今後の研究推進に最大限活用できるようにする。 また、第2回の調査を8月にメンバー全員で実施し、2008年版の実施状況およびその成果を様々な学校タイプ別に明らかにする。ただし、現地の海外共同研究者との討議の結果、当初計画していた教員を対象としたアンケート調査については、現地においてアンケート調査の実施が非常に困難になっている状況があることを踏まえ、実施するかどうかを慎重に検討することとした。 さらに、カリキュラムに関する文献・資料の収集・整理・分析について、前年度に引き続き推進することとする。なお、前年度に取り組んだ2008年版の日本語訳についても、引き続き精緻化を進め、ホームページ等による公表を行う。 これらの研究を推進するため、2月には海外共同研究者であるチャンタナー・ナレスワン大学准教授を日本に招聘してセミナーおよび研究打合せ会議を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度においては、経費節減のために、国内における研究打合せ会議の回数をメールによる情報交換を密にすることによって計画の2回から1回に縮減し、また現地調査の経費の一部を研究代表者の所属大学が配分する研究費によって充当した。その結果生じた次年度使用額は主として、6月にアルゼンチンのブエノスアイレス大学において開催される世界比較教育学会における成果発表の経費に充当する。また、平成25年度に延期したホームページ制作に係る経費にも充当する。 その他の研究費の使用計画は当初予定通り、下記の通り行う。①カリキュラムに関する文献・資料の収集・整理・分析のため、研究分担者スネートの監督の下、名古屋大学において研究補助者を雇いあげて実施する。②研究打合せ会議を実施して、研究メンバー間で個別情報を集約・統合するとともに、2月に海外共同研究者を招聘してセミナーを実施する。③8月にタイにおける調査を実施する。なお、アンケート調査を実施しない判断を行った場合には、それに代えて学校訪問調査を当初計画よりも充実させて研究課題の達成が得られるようにする。
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