研究課題/領域番号 |
24531066
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
杉野 竜美 神戸大学, 国際協力研究科, 部局研究員 (40626470)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国際情報交換 / イタリア |
研究概要 |
初年度は、主に、資料の収集と聞き取り調査によるデータの入手と、今後の調査に続くデータを聞き取り調査によって入手できた。 平成24年10月に訪伊し、有益な資料や情報を入手した。日本においてもインターネットを介して書籍を入手することは可能だが、そもそも書籍に関する情報の入手プロセスに限界がある。そのような意味で、イタリアに留学中の研究者に面会し、日本では得ることが困難だった資料に関する情報を得て、その収集が果たせたことは実りあるものだった。また、訪伊の度に訪れるローマ市に所在するカリタス(カソリックを母体とし、移民の支援や情報収集、研究を行っている団体)においても、多々の資料を得ることができた。 このカリタスでは、移民に関する研究者から聞き取り(調査)を行った。パルマ市では、イタリアで子育てをしている日本人や韓国人の母親にインタビュー調査を行った。この中で、本研究の主たる調査対象である中国人移民に関する状況も聞くことができた。ローマ市カリタスも、およびパルマ市母親インタビュも、次年度に実施する調査の事前調査として位置づけられる。 ローマでは、中国系移民が多く在住している地域で開催された、移民の支援をしているいくつかの団体の開催する、女性支援活動を訪問した。婦人系疾病予防のための検査が最も活発に活動していたが、分野を特定しない相談コーナーなども充実していた。(資料では「10時開始」と記されていたので、9時50分ごろから開催地へ赴いたのだが、10時くらいから準備を始める様子で、日本のようにはっきりとした「開始!」があるわけではない。そういったイタリアの文化・感覚を理解しているのだが、つい日本の感覚で参加してしまうところを気を付けないと、ストレスになる。)移民を取り囲む状況を、イタリアの支援団体の側から伺い、肌で感じることができたのは、今後の取り組みに役立つ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画で、全般を通して調査の中心に置いたフィールドワークについては、おおむね順調に行えた。常に研究に協力してもらっているカリタスを通して資料・情報の収集が行えたのは、予定通りだったとはいえ、十分な収穫だった。また、パルマ市では、現地で子育てをしている日本人や韓国人の母親の聞き取り調査を行い、今後の調査の方向性を再アレンジできた。しかしながら、中国系移民が多く在住している地域で活動する「エスクイリーノ(地区)社会メディエーション計画」に直接アクセスできなかったのは残念である。次年度でこの遅れは調整したい。 研究計画では、文献の収集とその分析に取り組む予定だったが、実際には、収集に関しては十分に行えたが、分析が十分に行えていないので、次年度の課題とする。次年度の、現地調査へ赴く前に終了させたいところである。 しかし、研究の中心である移民生徒の社会関係資本について言えば、移民支援団体の活動に接することで、その一面に接することができた。ここからさらに、地域コミュニティの実態へと踏み込んでいけるものと考える。 すべてが計画通りに運んではいるわけではないが、次年度の研究・調査につながる活動になっているので、おおむね順調と言える。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に収集した分析の調査を進め、次年度は現地調査に焦点を当てる。現地調査では、当初の予定通り、学校と移民・教育支援団体の実施する教育活動の参与観察とインタビューを中心としたフィールドワークを行う。 本研究では、移民生徒の社会関係資本に着目しているが、初年度の聞き取り調査を分析した結果、移民家族の言語資本が社会関係資本の形成に重要な要素であると考えられる。したがって、社会関係資本そのものを調査分析することに変更はないが、その背景にある言語資本への調査も加えたい。具体的には、アンケートやインタビュー調査をする場合の重要項目として、言語使用状況やその活用に関する設問を取り入れていこうと考える。 ローマ市での調査を、ミラノ市やプラート市の状況と比較研究する予定だったが、パルマ市での調査との比較に変更しようかと検討中である。これも、言語資本の調査との関連の中で調整する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費は、主に調査・研究旅費に充てる。 イタリアへの渡航費・宿泊費と、イタリア国内移動費に研究費のほとんどを使用する予定である。現地調査には、現地の活動団体に協力を要請する予定であり、そのための謝金の支払いを想定している。必要に応じて、通訳補助を雇うつもりなので、その人件費も必要である。いずれにせよ、イタリアでの現地調査が研究費の使途となる。 日本国内の学会や研究会の参加で要する旅費も使用の予定である。 これらは、応募時に提出した応募内容ファイルに記載した研究経費と、あまり変更がない。ただし、応募時と比べて、ユーロ高になっているので、図書の購入を極力控えて現地調査費に充てたいと思う。
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