研究課題/領域番号 |
24531066
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
杉野 竜美 神戸大学, 国際協力研究科, 研究員 (40626470)
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キーワード | 異文化理解教育 / 国際情報交換 / イタリア |
研究概要 |
平成26年3月に訪伊し、昨年同様カリタスへの訪問、インタビュー、セミナーへの参加を行った。毎年カリタスが発行している報告書とその他関連書籍の入手は、現地でのみ可能である。また、インタビュー及びセミナーによって、イタリア社会の移民に関する状況が確認された。イタリアの移民問題は、もはや緊急で特別な事項ではなく、常に存在する日常的とも言える事項として考えられている。 ローマやミラノなどの大都市以上に、中国系移民が在住しているプラートでの学校訪問、図書館訪問を行った。ローマ・カリタスで得た情報を裏付けるごとく、学校で移民生徒たちは特別なものではなく、ごく当たり前の(学校の)構成員として存在していた。ローマやミラノのような大都市とは異なり、プラートのような小都市では、移民とその子弟たちの出入りが激しくないと考えられる。そのために、イタリア人と移民の(ある程度の)関係が構築できているのだろうと推測できる。 また、プラートでは、市営図書館による異文化理解に向けた活動も活発であることが確認できた。異文化理解の活動の場が「学校」だけではなく、「図書館」もその役割を担っている点が興味深い。 入手資料を整理するにあたって、改めてイタリア社会の移民政策の方向性を見直す必要があると考えている。 ボローニャでは、イタリアで子育てをしている日本人女性から、子弟への母語教育の実践についてインタビューを行った。母語教育を通じて、自らと子弟の母国(日本)へのつながりを、心理的な安定および生活の戦略をはかっている様子が伺えた。本研究の対象である中国系移民の教育戦略を聞きだす資料となりえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
資料収集、関連施設・機関への訪問、関係者へのインタビューなどは予定通り展開している。ボローニャおよびプラートでの調査を展開できたのも順調な進展と言えるだろう。特に、ローマ・カリタスとボローニャの母語教室では、今後も様々な情報を提供されるだろう関係を構築できていることは、研究継続にあたって有益である。 関係者へのインタビューはおおむね順調と言える。しかし、中国系移民へのインタビューが実施できておらず、この点はかなり残念に思っている。科研の最後の年度である平成26年度には、必ず実施しなければならない調査である。
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今後の研究の推進方策 |
概要で述べたように、改めてイタリア社会の移民政策の方向性を見直しながら入手資料を整理する必要がある。 昨年度の本報告書にて、社会関係資本の背景にある言語資本への調査を加えたいと記した。ボローニャでの調査は、その前段階と言えるので、さらなる聞き取り調査を実施する。それと並行して、中国系移民へのアンケート/インタビュー調査の項目を精査~実施していく。母語教育に関しては、昨年日本における外国人へのインタビューを実施したので、こちらとの関連も検討している。
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