研究課題/領域番号 |
24531068
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
村澤 昌崇 広島大学, 高等教育研究開発センター, 准教授 (00284224)
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研究分担者 |
藤墳 智一 宮崎大学, 教育・学生支援センター, 准教授 (30248637)
阿曽沼 明裕 名古屋大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (80261759)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 高等教育 / 適正規模 / 組織論 |
研究概要 |
平成24年度は、規模と範囲の経済性および統計分析に用いる分析方法について、先行研究を整理検討した。 さらに、過去に得ていた大学教員対象の大学組織・勤務実態調査を活用・再分析し、近年その負担増が問題となっている大学教員の管理運営時間に焦点を当て、その時間負担の増減に与える教員の主催する研究室構成・規模の影響を分析した。分析方法には、大学管理運営時間の負担を最小可能な研究室の構成員の組み合わせおよびその成員規模の適正値を、Generalized Linear Mixed Model(GLMM)を適用して推計した。分析に際しては、教員全体集計と人文社会系(文学・経済)、自然科学系(物理・機械)、医学系に分けた分析を行い、それぞれの分野において管理運営時間負担を最小にできる人員構成と規模の適正値が異なることが明らかになった。なお、この成果はすでに以下の通り発表されている。Watanabe, S.P., Murasawa, M. & Abe, Y., 2013,Internal Staff Allocation and the Changing Workload of Japanese Professoriate: A Multilevel Statistical Analysis with Simulations, Research & Occasional Paper Series: CSHE, University of California, Berkeley. (http://cshe.berkeley.edu/publications/publications.php?id=428) さらに、文部科学省の学校基本調査の機関別個票を入手することができ、平成25年度のにおける大学の環境適応(存続)とその適正規模の分析を可能にするべく、データ整備を進行させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大学の環境適応とその適正規模の考察というテーマに基づいて、大学教員レベルにおける環境適応=大学管理運営時間負担の最小化のための研究室規模と構成の在り方に関する計量分析を展開した結果、世界でも有数の高等教育に関する研究機関であるアメリカ・カリフォルニア大学バークレー校の高等教育研究センターのリサーチペーパー集への掲載が決定・公開され(Watanabe, S.P., Murasawa, M. & Abe, Y., 2013,Internal Staff Allocation and the Changing Workload of Japanese Professoriate: A Multilevel Statistical Analysis with Simulations, Research & Occasional Paper Series: CSHE, University of California, Berkeley. (http://cshe.berkeley.edu/publications/publications.php?id=428))、科研プロジェクト初年度から着実に成果を算出した点から、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
上記研究計画に基づき、今年度は予算の多くを文科省学校基本調査の機関レベルの個票の整備およびアメリカ高等教育機関に関するデータipedsの整備のために費やすことになる。 具体的には、謝金を用いて研究支援員によるデータ整備を継続的に進めると同時に、その他経費を用いて、データ入力業者によるデータの整備も併せて行うことになる。さらに、分析に必要な統計等のソフトウエアの更新、計算の処理速度を高速化させるためのPC関連のサプライ品の購入が必要になる。 さらに、旅費を用いて研究協力者との打ち合わせを年度内に最低三回実施することにより、分析の方向性を煮詰めると同時に、国内外の学会における発表を行う。加えて、アメリカのデータの整備・分析の示唆を得るために、旅費を用いてアメリカの高等教育政策の研究者との打ち合わせを予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度展開した「管理運営時間負担を最小化する研究室の規模と構成」の分析を継続しモデルの精緻化をはかる。 さらに、学校基本調査の機関別個票の整備が本研究には欠かせないので、分析可能な状態にまでデータの整備を進める。この機関別個票データを用い、各大学の規模や学部・研究科構成が時間進行に応じてどのように変化してきたのか、そしてその変化が大学の外部・内部環境とどのように連動しているのかを統計分析を通じて明らかにし、その上で、環境に適応し、頑健性の高い大学の規模や構成を推計する。同様のフレームワークを用い、アメリカの大学のデータ分析も行う。 当初今年度は、個別大学教員へのアンケート調査を予定していたが、定量的な頑健性の高い機関レベルのデータが日本とアメリカで手に入ることが確定したので、信頼性の高い分析を行うという意味でも、これらデータの整備と分析を集中して行う方向に新たに展開する。
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