研究課題/領域番号 |
24531079
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
油布 佐和子 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (80183987)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 学校の機能分化 / 単層構造―重層構造論 / フィールドワーク / 職務分析 / 同僚性 |
研究概要 |
平成24年度の研究目的は、第一に、学校の機能分化にかかわって、縦方向(学校内の職階制の進展)と横方向(学校に係る外部専門家との協同)の実態をフィールドワークにより明らかにすること、第二に、諸外国の学校組織における教員の活動の実態を明らかにすることにあった。しかしながら、11に後述するように、中心となるフィールドワーク・海外インタビュー調査の実施が困難であったことから、平成24年度の研究成果は限定的なものにとどまる。 学校の機能分化については、①「横」の機能分化と「教育の商品化」および②学校の機能分化の先行研究について整理した。後者については、1960年代の、「校務の近代化」「学校組織の単層構造・重層構造論」の知見を考察し、この議論が実態分析というよりは理念的なものに偏向しているものの、ここでいう「学校の機能分化(縦の分化)」と関連を持つことが明らかで、50年の時を経て、改めて検討すべき課題となっていることが認識された。この検討を踏まえて、職位ごとに、活動がどのように異なるのか、それがどのように編成されているのか、それぞれの日常的な活動の領域や、意思決定過程、ネットワーク分析などを行い、機能分化の実態を把握するというフィールドワークの際の焦点が明確になった。これが平成25年度の課題になる。 第二に、海外インタビュー調査では、以前に収集したインタビューを分析することにより、機能分化の実態は学校によることが明らかになった。すなわち、スコットランドの私立学校では、教科指導だけではなく寮生活を通じてスポーツ活動や、人格形成などの役割が教師に求められていたのである。この事例を踏まえたとき、「機能分化」した職員の配置・役割という在り方は、欧米(=近代化された姿)の特徴というよりは、「何を教授するか」という教育理念やそれを支える制度・組織基盤と深く関わることが予測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
(理由) 勤務校のカリキュラム等改編作業による業務過多のため、フィールドワークに予定していた9月~11月に、まったく実施することができなかったこと、3月に予定していた海外出張時に体調を壊し取りやめ、延期したことなどから、研究の年度内の達成が困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
最も重点を置くことは、学校のフィールドワークの実施であり、校長―副校長―主幹―主任―教諭という職階制による職務遂行の際の分析を行うことである。果たして機能分化がどのように起こっているのか(職階制は作られても機能の分化は行われない場合もある)、機能分化が必要なのか、その状況は、互いの協力関係をどのように規定するのかを分析することを目的とする。 第二に、これも前年度から引き継いで、海外における学校の「機能分化」と同僚性の聞き取り調査を実施することである。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に実施できず延期した二つの課題について、すなわち①フィールドワーク(そのための旅費、専門的知識の享受、インタビューテープ等の掘り起しなど) ②海外比較研究(延期した、アメリカ・カナダの大学・学校訪問)に用いる。
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