本研究の目的は、大学を教育・研究・社会サービス等を生産する主体と捉え、その活動を効率性の視点から定量的に分析し、その結果を大学の内部要因(使命・計画、組織構造・構成員・ガバナンス)と外部要因(補助金・認証評価制度)の関係から考察して、組織設計上の問題点を明らかにすることである。また、大学の戦略的経営に役立つ定量的分析ツールの開発も目的としている。 平成26年度は、平成24年度に実施した大学経営の実態を把握するためのアンケート調査に、ガバナンスや学長のリーダーシップに関する新たな視点からの設問を加えた第2回「大学経営効率化」に関するアンケート調査を実施し、これらのデータを用いた分析を行った。その成果は研究会や学会等で発表を行った。分析の方法は、効率性の計測については平成24年度・25年度から継続している包絡分析法(DEA:Data Envelopment Analysis)を用いた。パネルデータを用いた効率性の変化については、Malmquist生産性指数を用いた分析を行った。大学のガバナンスや学長のリーダーシップに影響を与える諸要因については、構造方程式モデリング(AMOS)を用いた分析を行った。 平成26年度は大学経営に大きな影響を与える外部要因として、高等教育政策と認証評価制度に関するインタビュー調査も実施した。高等教育政策については、日本私立学校振興・共済事業団の私学情報室、認証評価制度については機関評価を実施している3つの認証評価機関(大学評価・学位授与機構・大学基準協会・日本高等教育評価機構)のうち、最も評価実施数の多い大学基準協会に大学経営に関するインタビューを実施した。 また、IR(Institutional Research) の先進国である米国の担当者へのインタビュー調査を実施した。IR担当者から実務的なノウハウも含めた貴重な情報を得ることができた。
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