• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実施状況報告書

ネットいじめの実態と学校の「荒れ」との関連をめぐる実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 24531082
研究機関佛教大学

研究代表者

原 清治  佛教大学, 教育学部, 教授 (20278469)

研究分担者 山内 乾史  神戸大学, 大学教育推進機構, 教授 (20240070)
浅田 瞳  華頂短期大学, 幼児教育学科, 講師 (80454859)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワードネットいじめ
研究実績の概要

本研究ではネットいじめがどのような学校病理と関係しているのかを明らかにする研究である。本研究からは以下の知見を得ることができた。
1.ケータイの所有と利用頻度については、地域による有意差がみられる。暴力行為の割合やケータイゲーム機のプレイ率もケータイの質問と同様に地域差がみられ、ケータイの利用頻度およびケータイゲーム機のプレイ頻度と暴力行為には強い相関関係がみられる。
2.中学生に注目すると、ケータイやゲームの所有率、ネットいじめの発生率において、地域間の格差はほとんどないく、ネットいじめと相関関係にあるのは、「いじめられっ子」かどうかであり、「いじられキャラ」がネットいじめの被害であることが多い。また、都市部の中学校においては、「いじられキャラ」、「ケータイの所有開始時期」「小学校が荒れていた」などが、ネットいじめの要因になっている。
3.高校生の調査では、「ケータイの所有率」「所有開始時期」「ケータイに関するルールの有無」が高校階層によって有意差があり、学力中上位は中学時代に、学力下位は高校時にケータイに関するモラル教育が有効であることが明らかとなった。一方で学力下位は家庭でのルールがないケースが多く、学校での取り組みが重要となることが指摘できた。
4.ネットいじめの「発生率」は高校階層によってそれほどの違いは見られないが、その内容は大きく異なり、学力上位に個人情報や画像流出などの「さらし」が多く、学力下位ではブログやメールによる個人攻撃が多くなり、学力中位はネットいじめの被害内容が少なくなることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

研究当初はネットいじめと暴力行為のみに注目して研究を進める予定であったが、研究を進めるにあたってネットいじめが学校の地域性(中学校)や階層(高等学校)による相違が明らかになってきたため、それらをもとに調査・分析・考察を深めた。
結果として中学校、高等学校ともにネットいじめが少ない学校、多い学校による違いがコミュニケーションや家庭でのネットルール、所有開始時期に相関すること、階層によるネットいじめの発生率の相違にはつながらないが、ネットいじめの内容には大きな違いが見られることを明らかにした。
詳細としては、学力上位校におけるネットいじめは「さらし」と呼ばれる間接的な誹謗中傷が多くを占め、それらに対して生徒自身も「ネットいじめはされるヤツの問題」と自己責任を求める声が多い。それに対し、学力中下位校のネットいじめは特定の個人に対して直接「キモイ、うざい」とメッセージを送る直接的ないじめが多いこと、ネットいじめは「自分たちで解決するには限界がある。大人なり、社会なりが何らかのルールを作らないと止まらない」と考える傾向があることを明らかにしている。

今後の研究の推進方策

本研究ではネットいじめを受けた児童生徒に対して、その要因と対策を明らかにすることに研究の主眼を置いていた。今後は調査対象となる子どもの対象を広げ、京都だけではなく滋賀県内(大津市外)の子どもについて、ネットいじめの現状を明らかにし、子どもたちの実態を精緻に分析する予定である。

次年度使用額が生じた理由

本研究は京都府および滋賀県における悉皆調査を目的としていた。
しかし、滋賀県大津市の全小中学校において、大津市いじめ防止対策推進課との共同研究として了承された。
したがって、調査予定であったアンケートの回収・入力に関する謝金および郵送費が大津市いじめプロジェクトにおいて計上されたため。

次年度使用額の使用計画

アンケート調査の対象エリアを広げ、近畿圏におけるネットいじめの実態を把握するための検証データの総数を増やし、研究の実証性を高める予定である。
主に大阪府や滋賀県北部についてのサンプルを増やし、より精緻な分析を行う。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (3件) (うち謝辞記載あり 3件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 高校階層とネットいじめの実態に関する実証的研究2015

    • 著者名/発表者名
      原清治、浅田瞳
    • 雑誌名

      佛教大学教育学部学会紀要

      巻: 14 ページ: 1-13

    • 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 複雑化する生徒指導諸課題の特質2014

    • 著者名/発表者名
      原清治
    • 雑誌名

      月刊高校教育

      巻: 47 ページ: 22-25

    • 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] ネットいじめと学校2014

    • 著者名/発表者名
      原清治
    • 雑誌名

      青少年問題

      巻: 61 ページ: 18-25

    • 謝辞記載あり
  • [学会発表] ネットいじめの実態に関する実証的研究(Ⅱ)2014

    • 著者名/発表者名
      浅田瞳、原清治
    • 学会等名
      関西教育学会第66回大会
    • 発表場所
      滋賀大学教育学部(滋賀県大津市)
    • 年月日
      2014-11-16
  • [学会発表] ネットいじめを規定する要因に関する実証的研究2014

    • 著者名/発表者名
      原清治、浅田瞳、山内乾史、堀出雅人
    • 学会等名
      日本教育実践学会第17回大会
    • 発表場所
      鳴門教育大学(徳島県鳴門市)
    • 年月日
      2014-11-02
  • [学会発表] ネットいじめの要因と実態に関する実証的研究2014

    • 著者名/発表者名
      原清治、山内乾史、浅田瞳、堀出雅人
    • 学会等名
      日本教育学会第73回大会
    • 発表場所
      九州大学貝塚文系キャンパス(福岡県福岡市)
    • 年月日
      2014-08-22 – 2014-08-24

URL: 

公開日: 2016-05-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi