本科学研究費関連研究の成果として、川島典子・三宅えり子編著『アジアのなかのジェンダー第2版』(2015年刊行、ミネルヴァ書房)の共著者として、「ジェンダーを考える視座」(第1章)と「貧困化する女性―貧困予防策を考える」(第6章)を執筆した。同著は2012年に刊行された初版の改訂版であるが、特に第6章に関しては、今回の研究成果を踏まえて、データだけでなく、考察に関する記述も修正した。 さらに、研究協力者である松並知子武庫川女子大学非常勤講師とともに女子大学生500名対象に実施したキャリアプランの選択に関するアンケート調査の結果をもとに論文を執筆し、心理学関係の学会誌に投稿した。現在審査結果を待っているところである。同論文を執筆するに至った背景としては、(1)日本人女性の高学歴化が進んでいる一方、女性の間では貧困化も進行していること、(2)学歴によってその程度の差はあるものの、高学歴だからといって貧困を免れるわけではなく、個人差があることを踏まえ、今日の女子大学生がキャリアについてどのように考えているのか、自尊感情や基本的信頼感などの要因との関連から調べ、その結果をもとに大学でどのようなキャリア教育が効果的なのか、特に実施されているキャリア教育を改善するとすればどのような点なのかを明らかにしたいという思いがあった。アンケートの中では経済的自立願望の有無およびその程度やそれらと自尊感情との関連等も調べており、本科学研究費関連研究の成果となった。
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