研究課題/領域番号 |
24531088
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
丸山 文裕 広島大学, 高等教育研究開発センター, 教授 (60144888)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 高等教育 / 公財政支出 / 国立大学 / 授業料 / 州立大学 |
研究概要 |
OECDの最新統計によって、日本の高等教育への公財政支出が、GDP比で約0.5%であることが確認できた。これはドイツ、フランスの約半分である。日本は家計が0.5%を負担している。平成24年度の研究では、さらに日本の公財政支出の時系列的変化を明らかにすることができた。それによると、GDP比0.5%水準は過去一定ではなく、1980年代には0.7%~0.8%程度と推測される。現在よりも高い水準にあった。今後国立大学や私立大学での教育研究への影響があると予測される。 本年度の国際比較研究では、アメリカの州立大学では、州政府の財政がひっ迫すると、高等教育予算が削減されることが明らかとなった。そして多くの場合、州立大学は授業料を値上げし、教育の質保証を行う傾向にあることが確認できた。日本の国立大学の運営費交付金は、過去削減されている。今のところ国立大学で、予算削減を授業料の値上げによって補おうとする動きは見られないことが確認できた。しかし国立大学関係者へのインタビューから、教育や研究の質をめぐる論議が、国立大学で起こることは十分予想される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は、公財政支出の理論的検討、それについての国際比較データ、日本の時系列データ分析を行うことができた。また国立大学関係者へのインタビューを行い、研究によって重要な知見が得られ、研究がおおむね順調に進展していると判断できる。さらにアメリカ、イギリス、フランスの高等教育研究者にインタビューを行い、それぞれの国の状況について情報を得た。 政府財政の困窮状況において、高等教育への公財政支出は停滞している。それを補うのが家計の高等教育への支出である。国立大学関係者へのインタビューによって、現在の授業料水準は十分高く、これ以上の授業料の値上げは、国立大学の使命である安価で良質な高等教育機会の提供を損なうものであるという意見が、共有されていることが判明した。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、高等教育財政の理論的検討を行った。また国際比較データ、日本の時系列データの分析を行った。今後もこれらの研究を継続して行う。さらにアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス等の高等教育財政状況および高等教育機関での授業料を詳しく調査する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
日本の国立大学の財務状況を検討するため、財務情報入手のための国内旅費および国立大学関係者への財政財務についてのインタビューのための国内旅費使用を計画している。 海外の高等教育財政および高等教育機関の授業料についての情報収集のため海外出張を計画している。 また統計資料、内外の研究書の購入を計画している。
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