研究課題/領域番号 |
24531088
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
丸山 文裕 広島大学, 高等教育研究開発センター, 教授 (60144888)
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キーワード | 高等教育財政 / 公財政支出 / 運営費交付金 / 科学研究費補助金 |
研究概要 |
平成25年度は、日本における1960年以降の高等教育への公財政支出の時系列的変化を中心に検討した。公財政支出のもっとも大きな割合を占めるのは、国立大学への運営費交付金であるが、これについては近年、とくに法人化以降2004年から、伸びが停滞している。国立大学への施設設備補助金は、年によって変動があり、傾向は確認できない。私学助成も増加はしているものの伸びは大きくはない。これらは機関助成、基盤経費と呼ばれるものである。しかし科学研究費補助金は、研究者個人を対象にした競争的資金として分類されるが、1960年以降着実に増加している。また奨学金事業費も伸びている。これは学生を対象にした個人助成である。 本年度は、これらの時系列的変化をデータによって明らかにできた。機関助成、基盤経費は停滞し、個人助成、競争的資金が増加傾向にある。このような機関助成が停滞する状況では、大学は授業料によって収入増加を図ることに誘引されやすいと考えられる。しかし今のところ国立大学は、授業料値上げには動いてはいない。また私立大学の一部有名校は、2014年4月消費税8%増額に際して、値上げするところも出てきた。しかし学生募集にマイナスの影響を受けるので、大きく値上げする私立大学は出ていない。 日本の社会保障費は毎年1兆円増加しており、公的債務はGDPの230%を超えている。このような状況では、高等教育への公財政支出の増加は期待ができない。配分を変えて、効率化が求められよう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、高等教育への公財政支出と大学の授業料水準との関係を分析することが、目的である。平成25年度は、とくに日本の高等教育への公財政支出の時系列的検討を行った。データを収集し、それを整理分析したが、おおむね順調に進むことができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、本研究の最終年度であり、これまで行った研究成果をまとめる作業を行う。高等教育への公財政支出と大学の授業料水準との関係を理論的、データを用いて実証的、また国際比較研究を通じて行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画した海外調査を一部行わなかったため、若干未使用額が生じた。 平成26年度に、データ収集分析、海外調査を行い、そのために使用を予定している。
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