研究課題/領域番号 |
24531089
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研究機関 | 独立行政法人大学評価・学位授与機構 |
研究代表者 |
吉川 裕美子 独立行政法人大学評価・学位授与機構, 研究開発部, 教授 (80282903)
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キーワード | 学位の相互認証 / 学士課程教育 / 学習成果 / 資格枠組み / 比較研究 |
研究概要 |
本研究の目的は、国(及び大学)によって学士課程教育の外的内的要件が異なる状況下で、学士学位の国際的な相互認証を可能にする条件を明らかにすることにある。学生の国内外における移動を促進・支援するには、取得学位、大学・高等教育機関での学修履歴、大学進学資格等に対する適正な認証(recognition)が不可欠である。平成25年度にはそうした認証を行なううえで必要な情報、判定基準、手順等について、主要諸国の実践例に関する文献収集と調査を行なった。特にヨーロッパ各国には、学位等の認証にかかわる情報提供・支援機関として国内情報センター(National Information Centres)が組織されていることにかんがみ、そのネットワーク(ENIC and NARIC Networks)の実務者グループにより2012年に刊行された「欧州地域認証マニュアル」(“European Area of Recognition Manual”)の分析を行なった。 さらに、中等教育後の異なるセクター(職業教育、大学・高等教育、継続教育)における多様な教育・訓練と大学での学修との比較可能性に関して、ヨーロッパを例に「生涯学習のためのヨーロッパ資格枠組み」とその一部をなす「高等教育資格枠組み」との関係について文献研究と分析を進めた。また、世界の諸国(ヨーロッパ、オーストラリア、中南米等)における学位・資格枠組みの取組みに刺激を受けてアメリカで開発されている「学位資格プロファイル」(Degree Qualifications Profile)に着目し、学位取得者が身につける知識、能力、技術の記述に関する欧米の比較を進めるとともに、学習成果(Learning Outcomes)に重点を置く高等教育政策の動向について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学位の国際的な相互認証を可能にする条件を明らかにするために、研究実施計画に即して日米欧の比較を視野に入れて調査研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度までに実施したヨーロッパ、アメリカ調査の結果を整理し、大学卒業者すなわち学士学位取得者が高等教育機関で行なう学修の成果として、どのような共通の力を獲得すると考えられているかについて、欧米の異同を比較検討する。さらに研究の総括に向けて必要な調査と海外の研究者との意見交換等を行なうとともに、年度末には本研究をつうじて得られた成果を取りまとめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
所属研究機関が実施する学位授与事業において、中央教育審議会答申「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」(平成23年1月31日)に謳われた、短期大学・高等専門学校認定専攻科の修了見込みでの申請者に対して「当該専攻科における学修の成果に基づいて円滑な学位の審査と授与が行われるよう、運用の改善を図る」ための制度設計及び構築に専念する必要が生じ、当初計画していた調査研究(海外調査を含む。)を遂行することが困難になったため。 平成25年度に予定していた海外調査(海外旅費)を実施するとともに文献・資料(物品費)の分析を進め、研究の成果を取りまとめる。
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